塔のてっぺんを雨雲が覆う頃
双子は塔の中で潤いを求めていた
白い魚が交差点で立ち止まり
右か左のどちらかを捨て
残ったものが概念だったのか靴下だったのか
今になってもわからない
-捨てたのは、どっちだったっけ-
やわらかい傘の骨が語尾にぶつかり弾け
読み終わる前に滲んでしまい
最後まで読めなかった
彼女はいつも先に笑っていて
滲んだ影も笑いながら拍手を送っているが
裏では ゆらりと中心を目指し
どこにも属さないでいようと思っていた
順番通りに名乗ることを拒み
正しさから落ちる音を繰り返す
湿った言葉の下の記録は
いつの間にか列から外れて
誰にも踏まれない場所に転がっていく
-いつまで落ち続ければいいんだっけ-
螺旋の縁で休符を繕っていた手つきが
対称を崩したまま天井を引き裂いてしまった
余熱を抱えた鉱石が発芽し続け
空間を正直に撫でていく
繕いきれなかった破線のなかで
屈折した正解が死んだふりをして眠っていた
慣性のまま重ねた遠近感は変わることなく
それでもずっと中心を目指している
作品データ
コメント数 : 7
P V 数 : 608.3
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-06-02
コメント日時 2025-06-14
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:608.3
2025/12/05 19時58分54秒現在
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正しさからこぼれ落ちた言葉たちはどこへ辿り着くのだろう。 ただ、梅雨の雨粒に乗って硬い地面に滑り落ちて行くだけなのかどうか。 私たちはそれでも中心を目指してゆきたいものですね。
0コメントありがとうございます 前はかなり自己中心的だったのですが、ここ最近、やっと、正しさは人の数だけあるんだって思うようになりました。だから、どうしても自分が思う「正しさ」は後回しにしてしまいます。秋乃さんがおっしゃるように、梅雨の雨粒に乗って硬い地面に滑り落ちて行くだけなら、それも仕方ないと思うほど、私は人との衝突がこわいです。 それでも、歳を重ねると、少しずつ以前のように図々しくなっている気もします。でも中心を目指してることは心の片隅に置いて、やっぱり静かに生きていたいです。
0つつみさん、そうですよね。 人との衝突はこわいですし、やっぱり静かに生きていたいですよね。 わかります。
1読むごとに印象、解釈が変化する予感がします。時間をおいて再び読んでみるのも楽しみです。
0コメントありがとうございます。 私も今日読み返してみたら、また違う風景が浮かぶ気がしました。その日の天気や気温、自分の気分で変わるんですね。榮翆さん、新たな気付きを教えてくださりありがとうございます。
0中心を目指しているのは確かだけれども、その歩み方はやはり機械的ではなく僅かにズレを含んでいるのかもしれません。
0コメントありがとうございます。 そうですね!抗えない力の影響を受けながらズレていきつつも、視点だけは中心を目指し続けていきたいものです。
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