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homecoming   

作成日時 2017-03-11
コメント日時 2017-03-16

夜叉の肖像。 殺人者のシリアスは饐えた桜の匂いに嗚咽を漏らす。 街路樹の幹に縛り付けたハンス・ベルメールの球体関節と老いた母親の醜悪な死が 美しい詩人の渇望と通底する埋葬された歪な執念を呼び起こす。 無数の死体に犯された少女が最も鋭利な復讐の表象として匕首を研ぎ澄ます。 それは鬼を視るということ。 「窓の外で『何か』が哭いている」 恐怖する子供の両眼を潰せ。 朽ちた巨木の虚に滴る二つの暗い赫、嗤う怨霊の飢餓は深く、 満たされぬまま。 三二廻目の新月を迎えた腥い畦、 棄置かれた菩薩の像、 忿怒形の土塊、 おぼろげな輪郭を脅かされた鳥居の朱、 輪切りにされた蝮の腹の正確な直径。 やがて群衆は忘却するだろう、土葬者の警句を。 「放たれた言語の鉛直な強度は所詮、自死を躊躇った柔らかい金槌の結果に過ぎない」 首を切断された獅子の腐敗した胃袋が産み落とすのは沼沢を彷徨う四ツ肢の化物。 霧が、男の纏う黒いトレンチコートを濡らしてゆく。 「あれは何?」 恐怖する子供の両眼を潰せ。 鶏卵の喝采に満ちた白い破壊の瞬間が、 覚醒剤と紙幣の束がアスファルトの白線上に降り注ぐ、 帰郷のときが来る前に。


項目全期間(2019/09/16現在)投稿後10日間
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2019/09/16 05時32分55秒現在
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コメント数(6)
もとこ (2017-03-12):

homecomingというタイトルから、私はどうしても音楽関係の連想をしてしまいます。ヘイ・マンデーやグリーン・デイの同名曲、さらにアメリカのアルバムなどです。ただ、詩の内容からするとヘイ・マンデーは真っ先に除外されてしまいます。「ハンス・ベルメールの球体関節」という部分が、この詩において重要なパーツなのかも知れません。 なぜ私がそういう解釈をしたかというと、「無数の死体に犯された少女」や「恐怖する子供の両眼を潰せ」というフレーズが、ベルメールの恋人であったウニカの生い立ちを連想させるからです。ただ、作品の全体的なイメージは「怨霊」、「菩薩」、「鳥居」、「土葬者」など極めて日本的です。どことなく神話的な流れの中で、個人的には「トレンチコート」や「覚醒剤と紙幣の束」という部分が浮いているように思われました。

まりも (2017-03-12):

力作だと思う一方で・・・メタファー満載の「戦後詩」的世界が再現されているようにも思い・・・そこに、申し訳ないけれども既視感がある、というのか・・・なかなか入っていけない、閉ざされている感じ、がありました。この一作のみから受けた、初読の印象ではありますが。

繰原秀平 (2017-03-13):

コメントありがとうございます。 >音楽関係の連想をしてしまいます。ヘイ・マンデーやグリーン・デイの同名曲、さらにアメリカのアルバムなどです 洋楽はマリリンマンソンくらいしか聴かないのでサッパリです……ちなみにタイトルはコナミのゲーム「サイレントヒル・ホームカミング」の印象から付けました。 >個人的には「トレンチコート」や「覚醒剤と紙幣の束」という部分が浮いているように思われました アクセントとしてあえて外してみたのですが、やはり不自然だったかもしれません。気を付けます。 >申し訳ないけれども既視感がある、というのか・・・なかなか入っていけない、閉ざされている感じ 以前投稿した作品にも同じような感想を幾つか頂きました。どうすれば改善されるのかなかなか解らない……

百均@B-REVIEW ON/ (2017-03-14):

 僕はあんまり本読まないので、つまりは語彙が貧弱な訳だ。そういう理由からこの作品に描かれたイメージが分らない、という可能性が十分にあるのだけれど、そこを一端外してこの作品を読んでみようとすると、イメージの設定集みたいな感じかなという感じです。一連のイメージとしてつながっているかんじというよりは、多分色々物が集合してる感じかなぁ、という訳で、流して読んでいくと次の行のイメージがなんでつながるのか訳わからん感じです。 >無数の死体に犯された少女が最も鋭利な復讐の表象として匕首を研ぎ澄ます。 >それは鬼を視るということ。 >「窓の外で『何か』が哭いている」 >恐怖する子供の両眼を潰せ。  例えばこの四行みたいなのは、うーん、なんとなく言葉はおどろおどろしいのですが、なんでこういう接続になるのかなぁと思ったり。 >「放たれた言語の鉛直な強度は所詮、自死を躊躇った柔らかい金槌の結果に過ぎない」    分かるような分からんようなっていう感じですかね。多分ゆっくり読めば掴めそうな気もしなくないんですが、例えば金槌の節と言語の節を入れ替えて読んでみると、結構面白いイメージが湧き上がってきます。    以下は僕が勝手に思った事ですが、例えば「サイレントヒル」みたいなイメージを開示されると、どうこの作品を受け取っていいかちょっとだけ掴めたりする訳で、そういう感じで情報が足りないのかなぁと思ったりします。この作品の根底に流れているテーマというか柱が幾つかあると思うんですが、そういうのが分かると面白くなるのかもしれません。つまり行間とか単語と単語のあいだに潜んでる接続、その論理みたいな物、或いは感情でもいいのですが、そのどこに着眼を置いて、腰を落ち着かせて、この作品を楽しめるのか、みたいな所でしょうかね。そういうのがあると僕は読んでて楽っちゃ楽だし、楽しいかなあぁ。まぁ僕とこの詩の相性みたいな所が大アリなのですがね。

み う ら (2017-03-15):

痛さがモロに伝わってくる映画と云えば、園子温監督作品。しかし、その昔、「殺し屋1」も痛かったですよ。浅野忠信さんが落とし前つけるために、自分の舌を切り落とすシーンがありましてね。タランティーノの「ホステル」もやばいかな。。 という・・痛さを文体で表現することは、かなり難しい。 しかし、本作『homecoming』のごとく、おどろおどろしさを読者にみせることは、読者側に共通言語が伴っていれば、そのイマージュを創出することが出来る。ゾンビになってしまいたい読者諸氏、どうだろう?

繰原秀平 (2017-03-16):

コメントありがとうございます。 >なんとなく言葉はおどろおどろしいのですが、なんでこういう接続になるのかなぁと思ったり 一応、言葉同士の繋がりを意識してはいるのですが、読者と作者の間に共通の言語認識があることを無意識的に前提にしてしまっているのかもしれません。

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