フィラデルフィアの夜に Ⅳ - B-REVIEW
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フィラデルフィアの夜に Ⅳ    

 フィラデルフィアの夜に、針金が光ります。 暗い夜のスポットライトに。  音が聞こえてきます。 引きずっている音。引きずられていく音。転がっている音。這いずり回る音。飛び跳ねる音。弾む音。軋む音。金属音。  小さく何十にも重なって。 木が折れ、曲がり、引き抜かれる音がたまに聞こえながら。  何も見えない暗闇に。  誰か来たのでしょうか。 今日に限って、それはない。今日のこの時に限ってそれは。 こんな暗い夜でもある。 音が聞こえる。 音だけが聞こえる。 何者が発しているのかわからない金属音。 音が。 音が。 音が。 音だけが。  光。 強い月明かりが、厚い雲から差し込んでくる。 ここだけに。 今夜初めて照らし出されました。 月明かりに、反射しきらめき光るクリスマスツリーが。 誰も訪れない墓場の上に。  かつてない雪に埋もれ、かろうじて顔を覗かせる墓石たちの上に。 寂しさだけが支配した世界に。 光る一本の樹が現れます。  磨かれた針金が、鉄線の銀と、銅線の赤と、真鍮線の金で、光を放つ。 粗雑に乱暴に念入りに、樹に巻き付けられ、神の生まれたこの日を祝います。  雪と土の下、眠る無縁の人々も。  月がまた雲に隠れ、辺りは漆黒に。 もう、光は来ませんでした。  でも光ったのです。 この場所で、あの時だけは。  また音が聞こえてきます。 引きずっている音。引きずられていく音。転がっている音。這いずり回る音。飛び跳ねる音。弾む音。軋む音。金属音。  小さく何十にも重なって。 草木が折れ、曲がり、引き抜かれる音がたまに聞こえながら。  何も見えない暗闇に。  樹に巻かれた針金がほどかれていく音でした。 祝うべき時は終わったのです。  遺されたのは、雪の上に引きずられた様な無数の線状の跡だけです。 そして雪が降り、この日の事は誰も知る事はありませんでした。


フィラデルフィアの夜に Ⅳ ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 8
P V 数 : 876.4
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2017-12-24
コメント日時 2017-12-27
項目全期間(2024/03/28現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
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閲覧指数:876.4
2024/03/28 21時28分16秒現在
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    作品に書かれた推薦文

フィラデルフィアの夜に Ⅳ コメントセクション

コメント数(8)
まりも
(2017-12-25)

命ある木が、突然に命を絶たれ、運ばれ、がんじがらめに(色とりどりの針金で)縛り上げられ・・・ そこに、月が輝く一瞬。木は、クリスマスツリーとしての役割を果たす。 その美しい景が、樹木による贖罪、人々の罪の贖いでもあるように思われました。 役割を果たした木は、再び乱暴に転がされながら、針金を引き剥がされ、放置される・・・ 木が大切にされる、のではなく。木の周りに巻かれた針金が光を反射する、その芯としての用件を果たしている間だけ、人に重宝され、また打ち捨てられていく。 クリスマスツリーのイメージと、フィラデルフィアシリーズ(あの、不思議な事件)の融合。 暗闇と光、音と映像が印象に残りました。

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二条千河
(2017-12-25)

思わず引き込まれました。 喚起される視覚・聴覚イメージが不気味で美しく、言葉で書かれているのになぜか無声映画を観ているような感覚になります。 何度も読み返したくなる詩ですが、そのうちにだんだん狂気を帯びてきそうで少々怖くもあり……。

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日下ゆうみ
(2017-12-25)

フィラデルフィアは私にとってはどこか遠い空間であり、そこの夜と小さな灯り、それからどことなく音が聞えてくるという場面導入からの始まり、そして、それをですます調で優しげに語ることで、童話的な空間を想起させているように思います。語り手はそうした子ども的な童話空間で何かを思い出そうと、イメージしたいと思っているように感じます。そしてここでは、小さな灯りでは何も見えないから音だけが聞えていて、その音も、重ねられていく中で、音という言葉だけが特に反復されていくと共に、その修飾が短くなっていくことで密かに音だけが頭の中を占めていくようでした。このように語り手が音を重視するのは、ここは誰も来ない空間であって、ここに一人で、そうして音だけが自分にとって聞える唯一の外界と繋がる手立てになっているが故で、「誰か来たのでしょうか」と述べているのはそのためなのだろうと考えました。 そんな孤独な、誰もいない世界に突如大きな光が表れて、私の目の前にクリスマスツリーを浮かび上がらせることで、この印象が鮮やかなものになっているように感じます。他のものは暗闇の中で背景となっていて、ただクリスマスツリーだけが光っているという事態ですが、語り手が想起していた誰かの存在がまるでこのクリスマスツリーであったかのように感じられます。語り手の孤独にとってクリスマスツリーが特別であったのであろうと私は思いました。そしてそのイメージは墓場の上に結びついていて、語り手は孤独を感じているのだから、元々ここで墓場に対する認識として、亡くなった誰かの存在を身に感じているということはないかと思うのですが、しかしクリスマスツリーは確かにモノとしてあるならば或る意味では死者にさせられてしまったモノであり、それに対して語り手が生者として相対しようとしているのなら、何かそうした消してしまった温度をもう一度手に掴もうとしていることもあるかもしれないと思いました。 ただ、私はこのように語り手はここで、記憶の中で生きているはずの死者、或いは現実に生きている樹という生者を、本当に単なるモノとしての死者にしてしまう作用について自覚をし、それに抗おうとしてこう語っているのだろうと思ったのですが、最終的に語り手は「そして雪が降り、この日の事は誰も知る事はありませんでした」として単なる個人的感傷の詩としてそれを収束させているように思われ、最後に結局感傷に浸ってしまうのは解決としては良くないのではないかと思いました。しかし、この点についてはもし私の過剰な深読みであるかもしれないとも思うので、そうであればすみません……。

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羽田恭
(2017-12-26)

まりもさん、こんにちは。 実は墓場に生えてある大きな樹に針金が巻き付けられたイメージでした。 木が折れたの下りは、引きずられていく針金にひかかったため、のつもりでした。 でもまりもさんの想像の方がこの出来事に合ってますね。 わざわざ命ある木を切って、針金巻き付けたクリスマスツリーを作ったのか。 そして、割とすぐ針金をはがして撤去したのか。 さらにある種の怖さが出てきます。 二条千河さん、初めまして。 上手く映像を思い浮かべるような表現が出来ました。 そこまで怖がらす気はなかったんですが。 そういえばフィラデルフィアシリーズ、こういうのばっかりかも。 日下悠実さん、初めまして。 好きに読んでくれたら幸いですよ。 自分の想定が正しいとも限らない気がしますし。 まりもさんへの返信にも書きましたが、自分としては針金が巻き付けられた樹は、墓場に生えている大きな樹のつもりでした。 そして何者かなのか、なぜか針金が勝手に樹に巻き付いてきたのか、はっきりさせないようにしました。 なのでいつも以上に好きに読んで欲しいなと。 個人的感傷というより、「よくわからないがこんな事が起きた。それは誰にも知られずに終わった」というつもりでしたが。 自分にとってそうなだけで、好きに読んで楽しんでくれたらなと。

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アラメルモ
(2017-12-26)

ちょっとあれですね。伝えたいような気持ちはよくわかるのですが、音や光。事象を表現するのに、木の動作だけでは漠然としたものしか読み手には伝わらない気もするのですね。針金やフィラデルフィアという地名に置かれた意味も釈然としない。例えば主体的に人物が描かれて語りはそれを中心に廻る。そうであればもっと引き込まれるのではないかと思いました。

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羽田恭
(2017-12-27)

アラメルモさん、こんにちは。 元々はフィラデルフィアワイヤーマンと仮に言われている人が作った作品から発想を得ていました。 ゴミ捨て場から見つかった武器や人形にも見えるそれらは、物に荒々しく針金を巻かれてあり、作った人は何者なのかは大規模な捜索にも関わらず、未だわかっていません。 そこから想像を膨らませ連作を続けている内に、フィラデルフィアワイヤーマンからどんどん外れていってしまったのです。 「フィラデルフィアの夜に」という語感が気に入ったのと個人的な針金への愛着、月一ペースで書けてしまうという理由でそれでも書き続けているのですが。(気がついたら21作品目です) 連作で人物を中心にしたのもありますが、今回思いついてしまったのがこの情景でした。 針金がなんでか這いずり回って一時だけのクリスマスツリーを作り上げ、誰にも知られずそれが終わってしまったという。 異論はあるのでしょうけど、自分でもよく分からないものを丁寧に書いていきたいと思ってます。 わかりやすさや引き込まれるという点では、よくないのですが。

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百均
(2017-12-27)

メチャクチャいいですね。作品と僕の間に明確な壁を感じます。僕の方から物語に干渉することを拒まれているというよりは、そもそも干渉出来ない感じがします。こういうドライさの中に拒否感が混じらず、明確な溝というのか、境界線を感じる感覚が面白いと思いました。 > 遺されたのは、雪の上に引きずられた様な無数の線状の跡だけです。 >そして雪が降り、この日の事は誰も知る事はありませんでした。 僕はここに書かれた事知っている訳ですよね。でも、語り手は知らないって言う。この秘密の共有だと思いながら読んでいた読み手は、そもそもこの物語の中にいないと言われている。事実の痕跡から想像するしかない人間達と同じ立場だと言い渡される感じですかね。ある意味読み手を特別扱いしてない。

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羽田恭
(2017-12-27)

百均さん、こんにちは。 自覚はなかったのですが、読み手と境界線が引かれてますね。 結局何故こうなったのかわからないし、最後は知らないで終わっている。 ただこの終わり方、芥川の羅生門と同じ方法ですよね。 わからないまま終わるっているのは。 こうするのが自然だと思ってそうしましたが。

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