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彷徨う羊と水蜜桃の空   

作成日時 2017-11-29
コメント日時 2017-12-13

水蜜桃の空を泳ぐ鴉たち その甘味に溺れ その色彩に溺れ 彼らは若くして墜落していった 黒く美しい羽根が散らばる丘 逆さまの十字架 茨の王冠枯れて 信仰を 祈りを忘れた人々は 無間回廊のような液晶に浸る 愛撫する指先 そこに映るのは 無機質な数値と 乾ききった肢体 水蜜桃の空から降り注ぐ 天使の梯子 蜘蛛の糸 それらがもたらす より深い煉獄 光の中、若き手が掴むナイフ 光の中、老いた手が掴むライフル 死の臭いが刻まれる赤い屋根 死の隊列が行進する灰色の街 ハッピーエンドが求められる物語 予定調和の希望が求められる世界は 現実、終末と悲しみに充ちている 消費期限を過ぎた水蜜桃の空 錆びたガードレールに囲まれた庭 茜色の空 暗い暗い森 隔離されたのは僕らなのか 隔離したのは僕らなのか 切断された匿名のヘルメット 破滅を選んだセダンの変死体 レモンイエローの救急車 轢死体が詰めこまれたパトカー 永遠と鳴り響くサイレン 手枷 足枷が刻むビート 鉄条網の絵筆が描く紅 鎖が乱雑に縫う暗緑色 腐った桃にたかる蠅だけが 此処では自由だ それらを傍観する羊の群れ 死んだ眼で喰らう牧草は茜色 死んだ眼で啜る重油は琥珀色 ――この庭の色彩は鮮やかで 僕は痙攣を起こしたように笑い続ける その笑い声に気づいた羊たち 彼らの濁った白目に映る僕は 四つん這いの黒い羊だった  


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2019/07/16 05時23分44秒現在
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コメント数(6)
ふじりゅう (2017-11-29):

戦争の詩だと思いました。日本を表しているのかもしれません。 その言葉では表現できないような残虐性を、詩という媒体でここまで表現できるのかと思いました。

李沙英 (2017-11-29):

こんにちは宜しくお願いします 出だし一言目から漢字の読み方につまずき当方の不勉強さを更に嘆く 読めずとも知ってる漢字なので独自の解釈で読み進めます これはスマートフォンですか?そう解釈しました 広大な大空を泳ぐかのような抑揚が詠われる中でそれは身近で小さな枠の中の一端を詠み綴ってるかのようにも捉えられました ならばその枠から見たであろう日の本がこの光景であるのかという推測 いや当方の憶測にしかすぎません。失礼。

まりも (2017-11-30):

地獄のような現世と、甘く蜜を滴らせるような天上世界・・・ 豊かな色彩と殺伐とした世界とが、二重写しになっているのが鮮烈でした。 死後の幸福を信じて自爆テロで命を落としていった魂を、カラスに重ねて読んでいました・・・そんな、具体的な意味付けは、しない方がよいのでしょうけれど、この作品は、映像作品を見ているように、景が具体的に展開されたので、そんな読み方を選んだのかもしれません。

北村灰色 (2017-12-13):

ふじりゅう様 コメントありがとうございます。 戦争の詩、では無いのですが、それに近い残虐性や死の匂いは漂っているので、そう解釈して頂けたのは嬉しいです。

北村灰色 (2017-12-13):

李沙英さま コメントありがとうございます。 水蜜桃は(すいみつとう)と読みます。 そうですね、「無限回廊のような液晶」はまさしくスマートフォンのことです。 自分に近しいようで、この世のようなあの世のような異界にいるような、そんな感覚で書きました。自分が現実から逃げたい、もう終わりにしたい死にたいっていう感覚がまとわりついているからこその視点なのかもしれません。

北村灰色 (2017-12-13):

まりも様 コメントありがとうございます。 この詩に関しては、解釈は読み手次第というか、死や負の情念、地獄と天国のような描写は一貫してありますが、そこから何を汲み取るかっていう。それは読み手によって全く異なるのかなと改めて読み直して思いました。

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