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デイヴィッド   

作成日時 2017-10-29
コメント日時 2017-12-03

少年もまた 女のように 石壁に抛物線を投げるという 醜い人間の集合離散への嫌悪の 生命線だ 先祖であるイタリアの石像は 見向きもせずに西を見る。 少年の名は 旅先で変わりゆく代物で 肌がその土地土地になじみ 故郷を忘れる。 ヒガンバナの曲線に 導かれる道端の媼どもが けらけらと ユリの曲線を嘲笑い 頭に降り注ぐのは ペガサス座の 塵芥か 糞尿か それを養分にして 媼どもが生長していく。 乃木坂で買ったスカートの柄に しゃぼんが垂れ落ちる 放課後の教室で 髪を切り刻んだ 女の生命線が 明日になってもなお縮まっていく。 池に恋せよ、乙女と 呪詛を唱えながら 各国を旅してきた少年は 夜な夜なロシア語を思い出す。 「はらしょー、はらしょー、おーちんはらしょー」 夜空に浮かぶ 乾いた笑い声は 誰が吐瀉したものだったか。 「ぼうや  この辺では  ヒガンバナが綺麗に咲くんだよ  知っているか  あれは  死人の花だよ  ひひひひひ」 少年は思い出していた。 (あの教室に落ちていた  髪の毛は  誰のものだったのか) 立ち返る記憶に 永遠はないと どこかの国の小説に書いてあった。 「らーる、ぷー、らーる」 拙い仏語で 繰り返されたおまじまいを ポケットにしまいこんで 旅をした少年は くしゃくしゃになった手紙 を投函した。 To Cathy, From David. 石像になりたかった少年 は今日も夜な夜な 抛物線を投げては 曲線に見惚れている それは誰の生命線だったか。


項目全期間(2020/01/22現在)投稿後10日間
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2020/01/22 18時35分12秒現在
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コメント数(5)
まりも (2017-11-01):

ダビデ像になりたかった少年、なのか・・・ゴリアテ、を倒したかった、少年。 〈女のように/石壁に抛物線を投げるという〉投げたものが、放物線を描く、のではなく、放物線そのものを投げる・・・? この地では、真っ直ぐ投げる、のが男投げで、放物線を描いて投げる、のが女投げ、なのか・・・と最初から悩みつつ、悩まないで感覚で流しながら読みなさい、という詩なのかな、とも、思いつつ・・・ 〈醜い人間の集合離散への嫌悪の/生命線〉女たちの井戸端会議、のような、そんな嫌な群れ方を、放擲する、ということ、なのかな・・・ なんというか、冒頭から、私には難解です。 〈肌がその土地土地になじみ/故郷を忘れる。〉〈呪詛を唱えながら/各国を旅してきた少年〉 なんどもなんども生まれ変わりながら、ダビデ・・・デイヴィッド、が遍歴する・・・物語、なのか。うーむ。 〈ヒガンバナの曲線〉〈ユリの曲線〉はなびらの曲線と、茎の直線。死(を象徴する、和の)花と、聖(を象徴する、洋の)花・・・? 〈繰り返されたおまじまい〉おまじない、を、おまじまい、と聞き間違えた幼児期の記憶。その記憶のままに、おまじまい、をつぶやく少年・・・ 教室で、切られる髪。「いじめ」の記憶、でしょうか。「らーる、ぷー、らーる」芸術の為の芸術、芸術至上性・・・ LArt pour lart・・・芸術への憧憬によって、少年は痛みや苦しみを堪えたのか。 〈抛物線を投げては/曲線に見惚れている/それは誰の生命線だったか。〉生命線が、象徴するもの・・・ 少年は、ゴリアテを、倒さないまま、地上を遍歴しているのでしょうか。 他の方は、どう読むのでしょう・・・。

なかたつ (2017-11-08):

まりもさん さすが、まりもさんです。いくつか潜めていた読みのコードを拾っていただきありがとうございます。 単純に、映像作品として楽しんでいただけたらと、西脇を真似たものにすぎません。 私自身にも解説できません、申し訳ありません。 ただ、皆さんがどう読むかは私も気になるところで、果敢に挑戦していただいたまりもさんに感謝しています。 僕にしかわからない読みのコードを潜める、というのは、西脇もやっていたことでしょう。 密かな引用がぱらぱらと詩の中に紛れているという。 単純に、1人の少年の旅物語として皆さんには楽しんでいただけたらと。

なかたつ (2017-11-29):

天才詩人さん ありがとうございます。 僕は、天才さんと相性が悪いものだと思ってたので、意外でした。

エイクピア (2017-11-30):

ダビデ、デイヴィッドですか。ヒガンバナのエピソード。曼珠沙華ですね。ロシア語、フランス語、石像になりたかった少年。聖書とはまた違うテイストで、新たな叙事詩を確立しようとしているようなそんな野心さえ感じられました。ユリの曲線やヒガンバナの曲線を、何を落着させるのでしょうか、興味深かったです。

なかたつ (2017-12-03):

エイクピアさん ありがとうございます。 新たな叙事詩をつくろうという野心はこれっぽっちもなかったりしますが、それでも、このテイストの作品は続けてみようと思います。 私自身、映像として思い浮かんだもの、私自身の中にあるばらばらのイメージを無作為に並べてみた、そんな映像や絵画として楽しんでいただけたらと。

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