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雨の痕
ひとしれず濡れていた朝に 音もなく降っていた夜があったと知る ◯ さみしさを だきしめていたら 電話が うるるるる となって 受話器をとっても 無言だから わかっているから うるるるる うるう 雨になるまで 毛布をかぶっていた ◯ テレビのなかでいまは亡きミュージシャンが唄う さいていの音量で しのびよる雨音と 聞き分けのつかない 年へたおさなさ 24時 きょうを脱がないまま あしたに片足をいれた ◯ なかなか変わらない赤信号のまえで 名も知らないひとの隣に立って このまましばらく隣りあっていたい なんて おもての色を変えられないまま 僕らは また歩き出さなければならない 振り向きもせずに ◯ 黙ったまま 水たまりは御空をうつして 還ってゆく 光とともに
作成日時 2021-11-21
コメント日時 2021-12-08
雨の痕 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1376.6
お気に入り数: 0
投票数 : 5
ポイント数 : 1
項目 | 全期間(2022/05/24現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
静謐な余韻といいますか、ひらがなを多用した語りが印象深く残りました。
0とても好きな詩です。
0わりと手癖で書いてしまっているようなところはありますが、静謐な余韻を感じていただけたならうれしいです。ありがとうございます。
1とても好きと仰っていただき、ありがとうございます。
0気付けなかった雨は時雨を想起します。あくまで詩的な比喩で、濡れている、降ったと言う表現から雨と断定する訳には行かないのですが、雨と断定して考えて見ました。亡きミュージシャンはどうしても尾崎豊を想起します。ああ、この連で雨と言う単語が。その前の連の電話、受話器のところで既に「雨」と言う単語は出て来ていましたね、今気付きました。赤信号や水たまりや光、分析すべき単語は多いと思いました。
0書き留めていたいくつかの詩のようなものを、「雨」というキーワードを中心に構成しました。飛躍のある語は使っていませんが、分析をさそうようであればうれしく思います。ありがとうございます。
0ああ、これはいいなあ。 作中にでてくる >うるるるる は擬音というよりは視覚的でもあって涙の形を連想させます。それが「うるう」を合わせると三回もでてくる。ずっと泣いてたんだろうと想像できます。それは「泣いた」と書くよりもよっぽど鮮明に浮かぶ。 それと「うるるるる」というのはいくらか少女漫画チックな幼さが見えて、「さいてい」とか「きょう」とかの平仮名表記と合わさって語り手の少女っぽさを連想させるのだけど、その効果もあってか「御空」という語に違和感がない。 ふいに誰かを失ってしまって寂しさや言い尽くせないいろいろがあるんだけど、それでも否応なしに前にすすまなければいけないということを語り手は知っていて、その自覚があることこそが悲しさを引き立てているように感じます。 最後の二行のなかの「光とともに」は、人魚姫のラストがこんな感じだったかどうか忘れたけど、浄化されて空に昇っていく様子を思い浮かべさせてくれます。 このラストのおかげで、読んでいるこっちまで、すすまなきゃなあ!と思わされました。
0自転車で傘をささなかった日が続いたときから、雨をみると、どうしても雨に打たれるのではないかという恐怖心がありました。 この詩にかかれている雨は、音や空の色が晴れの日と似ていて、こんな日に自転車をこいでいたらなと想像しました。
0あ、意味のあるなしの境が曖昧な感じ、いいですね。不思議に染みてくる。狙って書けるものではないような感じのする、好きな雰囲気、いい作品だと思います。
0「うるるるる」に注目してくださってありがとうございます。朗読では、電話のベルの音に近づけて発声してみることが楽しかったりします。
0雨にふられるのはつらいですけど、雨そのものはけっこう好きだったりします。とくに雨上がりは、感情まで洗いながされていったような気分になりますね。
0いつも、意図して書こうというよりも、うまれてくることのほうが多いように思います。だけど作品として出すときは、それなりの意図も加わっているかもしれません。 好きだと仰っていただきうれしいです。ありがとうございます。
0二度目のコメントになるかもしれませんが、今回は「年へたおさなさ」に注目しました。普通年を経れば、「おさなさ」は払拭されるものと思料しますが、年を経てもなお残るおさなさ、或いは、年を経た結果生じる、より濃さを増した幼さ、批評性を増した幼さであろうかと思いました。
0ひとは大人になるにつれておさなさを脱ぎすてていくものかもしれませんが、聞き分けのない感情がじぶんの内にあるのをみつけたとき、おさなさを脱ぎすてきれていないなと感じます。 二度目のコメントありがとうございました。
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