倒立した壁は全て崩れている
(泡の内側は外へと向かう)
淀んでいた周囲は過去ではない
(口の中には走り回る森の群れ)
方角の向こう側から光が飛んでくる
(四季の乳房、道の消失)
振動している空洞の外側には形状という枷
痴れ者である樹々の幹から滴る樹液は
核融合で消えたいくらかの質量は、右目に宿っている
被い切れなかったことを知っている
淡くなろうとした血痕の脳裏では
見境のなくなった幾人もの星屑が、流星になろうとした
顔から出ていこうとする霊魂たちは一つの管であり、
役目を終えられず、手を胸にあてる
回る僕、回る私、星、四つの指と、一つの手
鹿の雄は、移ろいに宿り
鹿の雌は、暗がりに宿る
同じ脈を通わせて、思慕の中にいる
見渡す限りの全ての中の、真っ只中に
居座っている
空の端を掴み、息を吐くと
そこから私たちは居なくなる
荒れた原野が、背中に迫る
恐ろしい人、首に、赤
潰した紙屑が、広がっている
回転の、振動は、止まった。
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作成日時 2020-10-01
コメント日時 2020-11-27
作品データ
コメント数 : 22
P V 数 : 6784.7
お気に入り数: 6
投票数 : 11
ポイント数 : 281
#現代詩
#縦書き
#受賞作
項目 | 全期間(2021/03/08現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 21 | 0 |
前衛性 | 122 | 0 |
可読性 | 21 | 0 |
エンタメ | 21 | 0 |
技巧 | 53 | 0 |
音韻 | 22 | 0 |
構成 | 21 | 0 |
総合ポイント | 281 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 7 | 10 |
前衛性 | 40.7 | 10 |
可読性 | 7 | 10 |
エンタメ | 7 | 10 |
技巧 | 17.7 | 10 |
音韻 | 7.3 | 10 |
構成 | 7 | 10 |
総合 | 93.7 | 70 |
閲覧指数:6784.7
2021/03/08 15時44分58秒現在
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すごく好きです。 と他に言葉が出ないくらい好みです。 自然の神秘さのなかに振動や核融合などの人工的な銀色の堅さが一瞬入ることで尚更澄んだ空気感を出しているように感じます。 一瞬、マクスウェルの悪魔を思い出しましたが恐らく気のせいだと思うので黙ります。 最後、回転の振動が止まるから点になるんですかね。それとも点が回転することにより、広がってたんでしょうか。 色々と考えさせられます。
1ありがとうございます。マクスウェルですか、少し考えます。
0これはよいですね。 天文と人の生き死にを重ねているのでしょうか。 ちゃんと読み解けてはいないのですが、詩情が強く伝わってきます。 かなり気になる詩です。
0ありがとうございます。是非読み解いてみてください。
0めちゃくちゃいい作品だと思いますし、なぜコメントがあまり伸びてないのか不思議に思います。 …… ただ、相当難易度の高い作品であると思います。一読して、良い!こりゃあ良い!と思ったのですが、(では何処が良いのか)をきちんと表現するのが難しい作品です。 本作を評するのは優れたレッサーに委ねるとして、特に気に入った箇所を拾います。 > 見境のなくなった幾人もの星屑が、流星になろうとした 正直、これ一文だけでも30くらい投票が来てもおかしくないのでは……?
0ありがとうございます。 コメントが伸びないのは僕が普段他の人の作品にコメントしないのもあるのだろうなぁと思います。 その一文、結構最近になって書けるようになってきた部分なので褒めていただけるのは凄く嬉しいです。
0ひとつひとつの言葉が絵画のように見え、想像力をかき立てられます。 しかし、私にはその全貌を伺うことができないようです。
0コメントありがとうございます。
0何度も読みたくなる魔力を持っている詩だと思いました。メタファーの一つ一つがことごとく脳内での映像化が不可能なため、何か出てくるたびに立ち止まらなければいけません。
0すごいです 感動して涙が止まりませんでした。
0ありがとうございます。何度でも読んでください。
0どうもです。
0何が起こっているのか。私の持つ言葉では、言い切れない。だから、この詩がここにあるのだろう。黙読するだけでは分からなくて、音読した。硬い言葉、硬い見た目の中には確かにリズムがある。冷たい物質の中でも、何かが振動しているように。そのリズムは、言葉そのものによってプログラムされたように正確で、もう一回読んでも同じようなリズムで読まれるだろう。物が重力に従って落ちて行くような。
1圧倒されました。傑作です。
0冒頭の、倒立〜崩れている で言葉の意味を脱臼させ、そこからこの作品は一種の「世界」となるようです。世界を築き上げた作者様にブラボーと言いたいです。(途中で送ってしまいました)
0冒頭の、倒立〜崩れている で言葉の意味を脱臼させ、そこからこの作品は一種の「世界」となるようです。世界を築き上げた作者様にブラボーと言いたいです。(途中で送ってしまいました)
0冒頭の、倒立〜崩れている で言葉の意味を脱臼させ、そこからこの作品は一種の「世界」となるようです。世界を築き上げた作者様にブラボーと言いたいです。(途中で送ってしまいました)
どうもです。作品が常に同じように読めるというのは疑問だと思います。
1どうもです。意味の脱臼って言われてみると面白いですね。
0疑問ありがとうございます。確かに、もう一度読んでみましたが人間である私が読むとブレるし、前にどう読んだか忘れているし、常に同じというのは変ですね。 でも、私にはこの詩にはある種の普遍性のようなものを感じるのです。方程式が常に正確な意味を示しているように。量子力学でも、揺らぎがあってもそれは一つの方程式として説明するような理論体系に組み込まれていると思います。言葉の配置の必然性、宇宙の法則のようなものを示していることなどが私にいつ読んでも同じ、という印象を与えたのだと思います。
0書く時に意識していた点を思い出しました。ありがとうございます。
0ラストの方の、 空の端を掴み、息を吐くと からの流れが、とても面白い(興味深い)と思います。 と、ともに そういった箇所と、 よく意図がわからない部分と、 さまざまなパーツが複雑に絡みあっていて、 つまり、感覚をどういうふうに言葉に置き換えるかっていうところで、 複雑に思考をなされたのかもしれません。 思考と、感覚的な表現の複雑な、揺れ、のようなものが この作品に強度をもたらしているのかもしれません。 少し自分には難しいのですが、 空の端を掴み、息を吐くと から 回転の、振動は、止まった。 の流れが好きです。
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