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まどろみと死体ごっこ   

作成日時 2020-01-11
コメント日時 2020-01-18

窓の外は のんきな真昼 小雨の音  トタン屋根をたたく気忙しない音 通りを走る車の、雨の日のタイヤの音 水たまりを蹴散らす音 私は 目を開いたまま横たわる 死体のように ずしりと重たい眠気を傍らに置いて ストーブの稼働音 わずかなうるささがずっと耳に響く つまらなさそうに刻み続ける時計の秒針 この部屋には 私以外 生きているものはいない カーテンは 私から世界を覆い隠す 穏やかな街から引きはがすように カーテンも私も微動だにしない 開き続けた眼球は 暖房で乾いていた 突然、私は死体のふりをすることに、飽きてしまった。 瞬きを忘れていたことに、動くのを忘れていたことに、私が生きていることに気が付いた。少しだけ首を動かして上を向く。続いて指をゆっくり握って、また開いてみる。眼球をくるりと動かす。まぶたの中で、乾ききった目に涙が染みた。これらの億劫な予備動作を一通り終えると、ゆっくりとベッドから体を起こす。ぱちぱちと瞬きを繰り返せば眠気は嘘のように消え去る。その代わりに起こるのは、かすかな空腹感。 死体は、その魅力を失った。


項目全期間(2020/01/27現在)投稿後10日間
叙情性22
前衛性11
可読性33
エンタメ00
技巧00
音韻33
構成11
総合ポイント1010
 平均値  中央値 
叙情性0.71
前衛性0.30
可読性11
 エンタメ00
技巧00
音韻10
構成0.30
総合3.34
閲覧指数:1032.3
2020/01/27 07時19分30秒現在
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コメント数(8)
南雲 安晴 (2020-01-13):

この作品は、確かに詩的ですが、何らかの物語か劇の前置きだけを書いてあるような、そんな感じがしました。あるべき肝腎な部分が、この作品の後にこそ書かれるものであろうと思わせます。せっかく「私」がいろいろなことを感じ取ったり、眠りと目覚め、静と動、死と生などを扱っている作品です。もっと濃い、もっと深い、もっと問題のあることを、勇気を出して書くと良いのではないかと思いました。

大井美弥子 (2020-01-13):

南雲 安晴さん ありがとうございます。なるほど、確かにこの後にもっともっと深いところまで行くことができるのだと思います。前置きという言葉でしっくりきました。参考にさせていただきます。

みみずみみず (2020-01-14):

この部屋には 私以外 生きているものはいない この一文に共感しました。 簡単な感想で申し訳ないです。

黒髪 (2020-01-14):

光景が丁寧に描かれていたので、良く思い浮かべることが、できました。流れる時間が貫いた世界の中で、 身体を動かし、永い眠りから起き始めるような詩に、共感しました。詩というものは、真実を描くことが、 試みの一つとしてありうるのだということを強く、つまりこの詩の特徴的な印象、新しく与えられた印象を強く感じました。

大井美弥子 (2020-01-15):

みみずさん ありがとうございます。共感していただけて嬉しいです。 黒髪さん ありがとうございます。光景の描写は苦心したところなので、褒めていただけて嬉しいです。これからも試行を続けてみたいと思います。

沙一 (2020-01-17):

前半はいかにも詩であるような行分けなのですが、後半は「突然、」以降、句読点をふつうに用いた散文に切り替わっていて、それは空想から覚めたことを文体でも表現しているようで、うまい構成だなと思いました。 余談ですが、本作を読み終えて、安部公房『壁』第二部の締めの言葉を思い起こしました。 《もう詩人ではなくなったのですから、腹がすくのが当然なのでした。》

ふじりゅう (2020-01-17):

>のんきな真昼 後に続く「小雨」と「のんき」が微妙に不釣り合いな気がします。何か別の、良い表現があるのではないか、と。 死体が突然現れる点、非常に面白く読みました。暖房、外の状況などがきっちり表されている点も好印象を持てました。

大井美弥子 (2020-01-18):

沙一さん ありがとうございます。構成はかなり試行錯誤したので、お褒めいただき嬉しいです。 安部公房、興味はずっとあったので読んでみたいと思います。 ふじりゅうさん ありがとうございます。緊張感のない、代わり映えのしない、平凡な日という意味で「のんき」という語を使ったのですが、確かにそれだと気楽さが勝ってしまって雨よりも晴れているような印象がありますね。

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