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旅人の石   

作成日時 2019-04-15
コメント日時 2019-04-18

1. 買ったばかりの鞄に縫い留められているタグを鋏で切り取るとき 海沿いの急な坂を上るとき 痛みを覚えた数だけ 報われるわけではないのは知っている 忘れられない森が誰にでもあるのだ 嫌い、さらに嫌い、消えない影の群れを追い出そうと疲れ 捩れてゆくのは自分の方なのだと目を伏せる 地球が1周する頃、ぼくの海馬は忠実に悪夢を再現する、そんな日が続いていたから そこにある水にぼくの存在を知られないようにしなくてはならなかった 筆跡を思い出したら最後、身から出た錆を踏んで空を仰いでいる 少しだけ息をさせて 桜が散るまで 身体中を巡る言葉の蜜、 空の下、眩しい人影が波を見ていた また春のやつが人を惑わす 歩調を変えずにもとの堤防へ引き返す途中で 胸の中のガラスの時計、林檎色が揺れて 私はもう一度同じ目に突き刺さされてもいいのだ 共振されない叫びはどう扱えばいいのでしょう、押し殺した結果、神経は干からびたでしょうか 人が人が人が頭の中にいて眼窩から空を見ています 貴方は温かいです そう 遅れて後ろを歩くぼくがもし何かを言いそうになったら そんなことは誰も知らないと嘲笑っていいから ぼくを許さないで 2. (煤けた春風の匂い) (稼働中に爆発した工場) (蓄電に成功したらノーベル賞ものです) (そんな、絵に描いた餅でしょう) (Fill in the blanks.) (シャーペンの芯を替えるぼくは羊になればいい) 3. 低血圧の君を観桜に連れ出した 150円のパンと笑顔 墨染の桜は、出会う前のぼくらに等しく刻印され 今年は何色として桜を彩る あのときの君は 最終バスに揺られたまま空白の4月を追い越すんだ 4. 熱っぽさをもて余す 手から落としてしまった日常を 繋ぎ合わせようとした 1日30分歩いて 飛んでいる鳥の数を数えること 青色には心を落ち着ける作用 玄関の新しい箒 二度と会えない君には、「好きだったんだよ」と 災害用ライトを直してFMラジオ、 赤色灯、サイレン、 ダイヤルを回して確かめる 生活をひとつひとつ思い出して、だんだん呼吸が上手になるようなのです そろそろ、静かな情熱の居場所を考えてあげなければなりませんね 5. 孤独な人へ あいするあいしているとは 打ち明けなくてはならないものでしょうか今ぼくの胸が満たされ温かですから 旅人の石を貴方にあげようと思うのです


項目全期間(2019/07/20現在)投稿後10日間
叙情性33
前衛性11
可読性11
エンタメ00
技巧22
音韻22
構成22
総合ポイント1111
 平均値  中央値 
叙情性11
前衛性0.30
可読性0.30
 エンタメ00
技巧0.70
音韻0.71
構成0.70
総合3.72
閲覧指数:821.6
2019/07/20 14時29分15秒現在
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コメント数(5)
小寄道小寄道 (2019-04-16):

なゆた創a.k.a.NORANEKO (2019-04-16):

叙情的な筆の運び、言葉の旋律の奏で方は好きです。とくに1.の、透明感のある水色を湛えた流れは文字通り出色だと思います。 ただ、それ以降の連が全体的にバラバラで、展開というよりは散在に近い置かれ方をしているのが残念です。2.以降の個々の連にもそれぞれ面白い試みはあるのですが、全体で噛み合って機能していない印象を受けました。 単純な好き嫌いでいうと私は好きです。素敵な詩心をお持ちですね。ありがとうございます。

渚鳥 (2019-04-18):

なゆた創a.k.a.NORANEKOさん 返信が遅くなりました。 いっそのこと1.だけで終わらせていたら良かったかもしれないですね。 ちょっと書き込みすぎた……、と感じています。 好きになってくれてありがとう。 お読みいただきありがとうございます。

渚鳥 (2019-04-18):

「旅人の石」 1. 買ったばかりの鞄に縫いつけられていたロゴをわざわざ鋏で切るときの 海沿いの坂を上るときの 痛みを覚えた数だけ うまくいくわけではないのは知っている 一部を忘れて一部を忘れないで、拗れてゆくのは自分の方なのだと目を伏せる 棄てた贈り物たちは思い出したら最後、身から出た錆を踏んで空を仰いでいる 少しだけ息をさせて 桜が散るまで 身体中を駆け巡る言葉の蜜、 波のすぐそばで 青空から生まれた、新しい肩で こちらを向いている人に気づいた 喉がカラカラで、ゆっくり引き返した 胸の中のガラスの時計、林檎色が揺れて ぼくは同じ目にもう一度突き刺されてもいいのだ 共振されない叫びを叫ばず押し殺した結果として神経は干からびたでしょうか 貴方は温かいです そう 遅れて後ろを歩くぼくがもし何かを言いそうになったら そんなことは誰も知らないと嘲笑っていいから ぼくを許さないで 2. 愛すべき孤独な人 あいしているとは 打ち明けてはいけないものでしょうか今ぼくの胸が満たされ温かですから 旅人の石を貴方にあげようと思うのです

渚鳥 (2019-04-18):

すみません。上のコメント欄を、紛らわしい使い方をしてしまいました。 削除していただけると助かります。

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