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幻想離れ   

作成日時 2019-03-31
コメント日時 2019-04-01

起きている時は無為に生き、 夢の中にある時でさえ何も遂げられない、生は何かを叶えるものなのに。 幻想を綴る書物の中に生き方の範型を見つけても、 それに則ることは今の私には難しい。 幻想離れの習癖が、私に取り憑いているようだ。 旅にでも出てみればいいと知友は言う。 なぜだろう? 旅人には未知の驚異的な物語が必ず待っているものだから? しかし元々人生という帰る当てのない旅に出てしまっている私たちだ、 旅などと今さら言わないで欲しい。 どこへ向かうのか、それは知らない。 行くべきところと行くべきでないところを分ける力は弱い。 今はただ、一時的な真実の到来を、後から順々に受け止めているだけだ。 そして私はほとんど驚かない。 でも私たちがいつもどこかへ帰りたいという願望を抑圧されているのは感じる、 どこか、幻想の根源へと。 聞き入れられるならば、出て来た家に今一度立ち戻りたい。 その時私は新しいものを見るに違いない。 家の鍵はかかっていないだろう、家の鍵は家の中の砂漠に捨てたのだから。 空き巣に入られていなければ、私は甘く熟したような過去の私の部屋の匂いを嗅ぎ、 部屋に残していった自分の持っていた物をすべて確かめたい。 人生という旅に出てしまった私の留守の間に、旧友から手紙など届いているだろうか? もしそうであれば、私はわくわくしてそれらを開封し読むことだろう。 あの懐かしい幻想の花よ燃え移れ、 感性の細胞から細胞へと。 感性から単位を削ぎ落とし、 再び幻想を咲かせるたった一つの種子を成せ。


項目全期間(2019/11/18現在)投稿後10日間
叙情性55
前衛性33
可読性88
エンタメ00
技巧22
音韻00
構成55
総合ポイント2323
 平均値  中央値 
叙情性1.30.5
前衛性0.80
可読性21.5
 エンタメ00
技巧0.50.5
音韻00
構成1.31
総合5.85.5
閲覧指数:627.4
2019/11/18 08時53分26秒現在
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コメント数(5)
エイクピア (2019-03-31):

日常が旅であれば友人の旅の勧めにも軽い反発が。 「家の鍵はかかっていないだろう、家の鍵は家の中の砂漠に捨てたのだから。」 こんな一行や 「起きている時は無為に生き、 夢の中にある時でさえ何も遂げられない、生は何かを叶えるものなのに。」 これら詩の冒頭二行が印象的でした。そしてタイトルである「幻想」が言及されて居る連は3,4箇所はあったと思いますが、それらの連は印象的と言うよりはむしろこの詩を読み解くキー連ではなかろうかと思いました。

南雲 安晴 (2019-04-01):

エイクピア様、コメントありがとうございます。 幻想は人間の頭脳に宿るものですが、それは健全な生を生み出す大切なものです。 最近私には幻想が欠けているのでこのような文を書きました。

yamabito (2019-04-01):

共感できる作品でした。 しかしながら、ややもすると説明的であり、定型詩作品としてはもっとスリムにするか、逆に長い散文詩にするかなどの工夫が欲しかった気がいたしました。

沙一 (2019-04-01):

生は何かを叶えるもの というのは、思い込みであるかもしれません。この世は、自我がみせる幻想に過ぎないのではないかと。 それはそれとして、今作での幻想は、私には少年時代の憧憬の比喩として捉えられて、好ましく感じながら読ませていただきました。

南雲 安晴 (2019-04-01):

静かな視界 様、コメントありがとうございます。 この私の拙作に説明調があることは確かです。 私は書くということをする時、結果が小説になるかとか詩になるかとか論文になるかとかいうことは考えず、言いたいことをとにかく作品内に定着させることを狙います。 しかし本当は私は詩を書きたいと思っており、私にとっても或る定まった形式或いは音楽的な構造の中に言いたいことをうたいあげることは理想でもあります。 今度、またはいつか、そういう作品を書きたいと思います。 沙一様、コメントありがとうございます。 実は本当に私はあの自由に、開放的に幻想をふくらませることのできた幼少期の自分に憧憬の念を抱いています。 しかし大人である現在、幻想には制約が必要であろうと思います。 望ましくない幻想にとらわれて悪を犯す場合があります。 幻想という語は様々に議論されるべきです。 どんな幻想も個人の勝手であるという段階にはもはやなく、やはり正しさというものが求められるのではないかと思います。

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