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【選評】イル「ナツ」【ワンポイント・キュレーション】   

作成日時 2018-08-07
コメント日時 2018-09-13

url  https://www.breview.org/keijiban/?id=1990 2018.7.10投稿 イル氏の作品は6月の「Cake」(https://www.breview.org/keijiban/?id=1867)から注目していたが、今作もそれに劣らず良い作品であった。 いつぞや読んだ雑誌にあった、漫画家の楳津かずおがオススメする音楽(実は楳津はバンドもやっていた)という特集で五木ひろし「よこはま・たそがれ」が取り上げられていて、「名詞を繋げただけの歌詞でここまでの世界観を表せるのはすごい」と。 この詩も名詞の割合が非常に多い。つまり動詞が極端に少ないということであり、詩中の動きが無いことに繋がる。静止画なのだこの詩は。例えば拙作「オホーツクの岬」(https://www.breview.org/keijiban/?id=327)とは正反対の詩となるだろう。オホーツクは動画的、場面変化の様こそが肝であるからだ。 だが豊かなイメージをこの詩は想起させてくる。それはこの詩が構成する画が一枚絵ながらそれで十分なほどの内容を含んでいるからである。それを成すにはただただ名詞の並列ではいけなく、その名詞自体に力がなくてはならない。「檸檬を切る母の手首」「地面に食い込む女の子の爪」「あの男の…………………」と、想像を促す表現がこの詩には随所にあり、そしてそれが名詞そしてこの詩に力を与えている。 イル氏は実力のある書き手だと思う。願わくばコメント業も盛んに行ってほしい。良い書き手は良いレッサーになれると信じている。慣れていなくても練習としてビーレビを使用してほしい。



コメント数(1)
まりも (2018-09-13):

分析が的確で、説得力のある評だと思いました。 静止画像的、だけれども、完全な静止というより、スローモーション映像を一部きり出したような、緩やかな動感もある。 そこを感じさせる部分を短い動作ごと切り出して引用するところも、とても良いと思う。

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