かつて戦争があった
今もそこに吹く風をぼくは思い出す
勇猛な蒙古の軍勢が
駑馬のいななきとはためく風の
祭りの岸辺を渡っていった
北国の吹雪が叫ぶように
またもや呻く獣の声が人々を震わせる
真空の中から現れた
火に燃える獅子の姿を
ぼくたちは眼にしている
風が目覚めて
人間的なすべての思考を吹き払い
野獣が光の中に浮かんでいる
そこでは愛を持たない女でなければならなかった
清らかな処女であることは凌辱による死を意味したのだ
盛大で煌めくような饗宴のあと
きみは冷たい夜風にもかまわず窓を開けた
ふと、眼を上げると、きみは両足を投げ出し
頭を椅子にのけぞらせて眠っていた
きみの心は、まだ歴史に姿を見せはじめた
何ものかにとらえられている
ぼくには、きみを望んでいたひとにするだけの力がない
草原を駆け抜ける馬のたてがみを
きみは今見ているのだろうか
何という奔放な美しさだろう
それを見て、ぼくは何かをきみに告げたかったのだろうか
蒙古の騎馬隊が去ったのち、きみは黒髪を切りとられたあと野に放たれ
磔にされた息子に遭った母親は石を投げた
ああ、中空を焦がす人声よ、何を望んでいるのか
丘を歩くきみはとりとめのない悲しみの瞑想に耽っているように見える
今、きみの声は無数の谺となってぼくに響いて消えた
明日、両手に薔薇の花を持って、きみを訪ねよう
ふたりで渡し場を小舟で越えよう
もう二度とぼくたちは北へ帰ることはないだろう
作品データ
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作成日時 2026-02-16
コメント日時 2026-02-16
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2026/02/17現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
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2026/02/17 07時16分56秒現在
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