買い物の途中、
国道に揃えられた革靴の、その不自然を眺めていると
鬼に連れて行かれたのだと、形而下の母は言う
大好きなハッピーターンを買ってもらえたわたしは、
にこやかにスーパーを出て、異様な光景に気付く
午後五時の空はまるで本で見た、鬼の形相で
瞬間、
楽しみだったおやつも
瞳から漏れ出る恐怖をも容易く握りつぶす
そんな赤黒い、夕景だった
すごい夕日ね
大して感慨もなさそうな声のはるか先に
かの鬼の行方を見つけてしまった
或いは
見つかってしまった、そんな気がして
母を置いて疾走した
走れど、
走れど、
迫り来るような赤
今日は眠りたくないと思った
夢に出そうな情景だから
息苦しさのなか、
何故怖いのか、
何に怯えているのか、走る。
待ちなさい!
聞き慣れた声が背後から聞こえて、
はっと振り向く
買い物袋を両の手に、走りにくいだろうに。
そういえばむかし、
陸上競技というスポーツをやっていたと聞いたことがある
近付いてくる母の顔は、なんだか空の色とおんなじで、
そのときわたしは何が一番怖いのかを、思い出した。
わたしは、玄関で靴を脱ぎ散らかし
もう一回怒られた
今日だけは靴を揃えておきたくなかったから
形而上にて
もう一回散らかした
部屋という部屋の遮光カーテンを閉め切り
寝室に鎮座するベッドの深く、深くへ潜りゆく
鬼に気付かれないように
夢に見付からないように
作品データ
コメント数 : 9
P V 数 : 613.9
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ポイント数 : 0
作成日時 2026-02-05
コメント日時 2026-02-09
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2026/02/12現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:613.9
2026/02/12 19時42分58秒現在
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辞書を読む様な作品ですね。 形而下の恐怖と形而上の恐怖が 見事に表現されていると感じました。 この恐怖が如何なってゆくのか行方が気に成ります。
1悪く言うと普通の文章で行間をあける必要はなかったような気がしました。読み物として面白く読みました。小説向き。
1こんにちは。 この作品にて主人公が感じている二種類の恐怖、願わくば読者の方々に伝われば(そして各々の思い出を想起させられれば)などと考えていました。白い影法師さんに伝わったようでひと安心です。 恐怖は、後々の心理や行動パターンに大きな影響を与える感情と思います。"わたし"はこの体験を経て如何なったか。気にしてくださり嬉しいですね。 そして「恐怖の行方」、思い出させて良いのかという思いもありますが、皆様に考えるきっかけになる作品になればなあと思ったりもします。 コメント有難うございました。
1こんにちは。 そう、書き始めは詩になりそうだったのですが、思ったよりかなりショートストーリー風味になってしまいました。持っていかれた感はあります(汗) ですが、この形の方が雰囲気が伝わるかも知れない、と思いあえてそのまま投稿しました。 今後の創作への学びとなるコメント、有難うございます。
0幼児期の体験の反芻が好きなのかも知れませんが、良いですね。
1全部書き手の妄想に 直接静的にかかわらされる描写なので 気持ち悪かった。 不自然を眺めていると」 異様な光景に気付く」 鬼の形相で」といった主観的形容詞が 妄想的で、うぎゃあとなる。 楳図かずおのマンガが嫌いで不気味だったの だけどそんな感じ。
1訂正 上からニ行目 直接静的にかかわらされる描写なので ↓ 直接的にかかわらされる描写なので
0こんにちは。 かなり主観的な作品にはなりましたが、よびなさんの好みに合ったのであれば幸いです。有難うございます。
0こんにちは。 楳図かずお氏が引き合いに出されるとは、そして(作品の出来を棚上げした上で)気持ち悪さやうぎゃあといった感想を抱いてくださったのは、率直、愉快であります。 同時に、見たものに対する妄想的ともいえる飛躍的な解釈、感情。半ば勢いで書いたとは言え、作品として落とし込む難しさを痛感しております。 コメント有難うございました。
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