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溜まる残照
バニラビーンズみたいに甘い香りがするけれど 舐めてみたら苦くってずっと後味が残ってる そんな夢を見た昼過ぎ 重い頭をのそっと動かしてベランダへ ぶっきらぼうに開けた窓 その先にある温い風に不機嫌ながら浸かり タバコを咥えて肺を焚いた 愚痴のように吐き出す煙 残る燃え滓みたいな夢が混じった過去 幻想くらいはハッピーエンドであってくれ 脳に言っても返答はないから クモ膜下出血を狙ってカフェインを飲む そんな不器用で地味な自殺志願 今はもう在り得ない未来 記憶にしか残っていないあの声と匂い 写真を見てする何度目かの想起 涙が簡単に流れないから消化不良 腐ってしまったから鏡は見たくない ふとした瞬間に想起した昔の自分の言動 そこに繋がっている 言われた言葉 そういうちっぽけな回収作業で積もる想い タバコは吸い殻になったから 透明なため息だけを吐いて ペットボトルに残ったコーヒーごと一気に 呑み込んだ 気づけばお盆はいつのまにか過ぎていた
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溜まる残照 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 356.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-11
コメント日時 09:10:20
| 項目 | 全期間(2025/12/13現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


タイトルにある「残照」と、詩の一語一語が響き合っていて、いいなあと思いました。 一瞬一瞬を積み重ねていった先に大人にはなったけれど、それぞれはまだ消化できていなくて、成熟しきれていない。 明るい内容ではないけれど、美しい表現に誘われて、何回も読んでしまいました。
1甘さと苦さが同居する冒頭の比喩が、そのまま全編の情緒を貫いていて印象的でした。 過去の残滓が煙のようにまとわりつき、忘れたいのに忘れられない感情の澱が静かに積もっていく。 破滅的な衝動すら淡々と描かれていて、その無声の痛みがむしろ強く胸に響く詩でした。
1「お盆はいつのまにか過ぎていた」 というラストの連は、何か故郷に残してきた思いのようなものを想起させますね。 煙草(恋愛)と過去の楽しくも苦しかった日々(学生時代)に思いを馳せた世界観を組み立てるのが上手な詩人さんが、このサイトにはいらっしゃいますけれど。 その削ぎ落とした文体に比べると、説明が少しだけ多いかなと思いました。 このテーマは多くの方々にとって、永遠のテーマなのだなと感じ入りました。
1文章の削ぎ落としは課題ですね コメントありがとうございます
0ありがとうございます もともとこの短歌を書いたのが先でそれを詩で表現したのがこの作品です それができていたようで嬉しいです あの人が生きてる夢を見た朝はバニラビーンズを舐めたみたい
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