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白日の夢
二度と戻ることのない時間 幼い日々の記憶 褪せた写真の鮮やかな思い出 届きもしない堤防に登ろうと擦り傷だらけになった両足 怒るでもなく大きな手で抱き上げられて眺めた入り江は、初夏の陽射しで輝いて 沖に向かう小舟に「いってらっしゃい」と手を振った 御盆の夜は、賑やかな太鼓の音を細い港への道に響かせて 白塗り化粧の漁師達 「せんげさんが来たぞ」と脅かされては襖の陰に隠れてた 「浅間(せんげん)さん」だと教わったのは殆んど顔を出せなくなってから もう集まる家は無くなって それでも、またいつかは顔を合わせることがあるだろうと浅はかにも信じてた もう二度と出来ないことになるとは微塵も思っていなかった 疎遠になっていたことを今更ながら自覚して 現実味の無い言葉だけが声になる せめて「薄情な奴だ」と草葉の陰から笑っていてはくれないだろうか いつの日か俺がそちらに行ったなら 幼い思い出の中と変わらず温かく大きな手で あの頃のように頭を撫でてくれるだろうか
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白日の夢 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 222.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-11
コメント日時 2025-12-11
| 項目 | 全期間(2025/12/13現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


おとなになって老成して幼年期を振り返るとき、まず懐かしさ の代表としてお祭りの夜の畏怖の思い出がよみがえるのは なぜだろう。 中間をとばして──魚でいうならば頭と尻尾のあいだにある 何の変哲もない身の部分を抜いて頭と尻尾の部分を 幼年期と老年期とするならこの二つを結ぶものが 「浅間さん」(木花咲耶姫命コノハナサクヤヒメノミコト) のような畏怖をもたらす神話の世界。ある意味ではあの世 の世界のイメージと共通するものでもあるのだろうか。 そんなことを考えさせる詩でした。
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