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一房のバナナ
嵐の残滓を引き連れて 切れ切れの雲は風の轍に乗ってゆく 雨雫 しとどに濡れそむる 街灯の星座滲むアスファルトを辿る ほろ酔いこだまするビーチサンダルの足音が唯一の連れ合い 路地裏 人通り絶えた軒下 暗がりの淀みを切り裂く声が唐突に 「バナナ買って!」 熟れた一房のバナナを両手で突き出す老婆 闇と湿気を纏いその顔貌は辿れない この世ならぬ者か バナナと人影を無下に振り切り駆けた その先にある瞬くにぎわいをたぐり寄せるように オリオンビール、泡盛、吐きそうになりながら駆けた 背後からの纏わりつく声と影に溺れかけそうになったところで 自分の影が追い抜きざま潮風が頬を柔らかく撫でた 歩をゆるめた 冗談を投げかけただけのことだったのかもと 夜空は未だ騒がしく 雲間から月明かりが嵐の匂いを放つ 台風一過の那覇 心さざめき過ぎゆく宵の一夜
一房のバナナ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 366.4
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-09-28
コメント日時 2025-09-30
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


おはようございます。 とても、独自の世界観が貫かれていますね。 >>「バナナ買って!」 >>熟れた一房のバナナを両手で突き出す老婆 タイトルにもなっているバナナが登場する瞬間、意外にも老婆がそれを握っている。どういう映像だろう?と想像が膨らみました。
1「バナナ買って」と両手を突き出す老婆。全体に文語調もあり、(しとどに濡れそむる一か所かもしれませんが)、雰囲気を出そうとした詩なのかもしれません。
1コメントありがとうございます!恐縮です。遠い昔の実際にあった、いつまでも記憶に残る旅の一コマでした。
1コメントありがとうございます!ご指摘と捉えて、また言葉を磨いていこうと思います。
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