終電終わり。
駅のシャッター、 カションと閉じる。
ずるずる酔った頭が痛い。
鉄の箱が動かぬなら、そこな線路を
歩かせてくれたって良いであろう。
奢った手前、タクシー呼ぶ金すらない。
東の京は、不夜なれど。
それは今なお、快楽売買する街のみ。
古き売買。上野、浅草、向島。
亥の刻辺りにゃ大体、暗い。
下がったシャッター、地方と一体何が違う。
何もかもが忌々しい。
ひとり歩いて荒川越えん彩の国。
酔いも陽気も何も無し。
ずるずる引きずる、ベタつく汗跡。
一体いつぶり、脚が棒。
遠くに見える鉄道橋。
あれ歩けたら最短なり。
そうと夢想し、首を振る。
スタンドバイミーとは言いたくない。
ただ、自らのつけ払い。
夢が為、歩む少年と訳が違う。
止まりたい。もうと一歩も嫌なのだ。
なれど歩まず、家着くわけなし。
せめてと耳につけたるイヤホン。
流れる曲の、流行りは昔。
ただそれだけが鼓動を急かす。
そうして汗だく、うんざりだ。
シャワーに入るも億劫だ。
そうしてぼんやり、冷房を聞く。
うとうとまどろむ私の耳に
始発の音が聞こえてきた。
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 456.3
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-09-09
コメント日時 2025-09-09
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
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| 技巧 | 0 | 0 |
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2025/12/05 21時14分43秒現在
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おはようございます。 一歩一歩、歩く事を大事だと思う事を 皆、笑うかもしれませんが 僕はこの詩、好きです。 だって、ちゃんと 血のあたたかさを感じますから。 東の京です。あんなもん。 それも、考えてみればおかしな事です。 江戸でええやんなあ!!! 江戸。東京より言いやすい。 それはともかくとして 地に足をつけ、 リアリズムの詩として 一読必読では? と、思わせる詩だと思いました。 作品、ありがとうございます。
1ぼくは、東京者にはなれませんでした。空虚な町。田舎者の集合。満員電車。どことはない人とのつながり。汚い街。孤独。
1そこ、ここに独特の言い回しがあって 作者の手のひらが伝わってきました。
1清々しくはなく、あの、身に覚えのあるねっとりとした風の吹く夜。言い回し、言葉、作者らしさが散りばめられていていいなぁと感じました。ありがとうございます。
1なんだかすごい大変そうですね。 お体に気をつけて 御自愛くださいませ。
1快楽売買する不夜の東の京の街。 カションと閉じる駅のシャッター 鉄の箱の重みが夜を沈めていく。 そうか、タイトルが夜か と私は気づいた。
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