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鳥人、あるいはなれなかった者の
命の火 もう抜け殻で 息絶える 既のところ 肉の塊 指の先 幸せたちが 思い知る 踏まれた心 遠い思い出 無惨にも 放り出された 人の山 世界の螺子は 小揺るぎもせず 今日もまた 世界は回る どん底で 蔓延る“好き”を 動力にして ***** 夜は闇を覆うやさしさ。 朝は魂に似た温もりを分け与える厳しさ。 嘘で塗り固められた希望のゴーストだって、 朝が作り出したまやかしにすぎない。 人を人として生かすための、 冷然としたシステム、それは悠久の昔からの。 孤独の温もりを抱き締めて、 人の群れの刃からは逃れて、 幸せに内在する切り立った大きな棘をも嫌って、 そらあ居場所なんてない。何処にも。そうさ。 儚んで、夢なんて、浮世の沙汰で。 世界の澱とは何ら関係がない、それでも。 幸せとは不幸の別のあらわれで、 愛は憎しみと表裏一体だ。 この国では今日も見知らぬ人たちが、 幸せそうな顔をして、 私には試練の豪雨が今日も降り注ぐ。 誰のせいだ? 生き様なんて生意気だね。 宿命なんて重すぎる。 昔日私が思っていたこと。 でも。 もしやこれまでの生き様ぜんぶが間違っていたのではないかと、 薄っすら感づいて、 冷徹な世界のシステムの溢れ落ちる慈悲深さに、 縋って、取り付いて、這いつくばって、 取り戻せないたくさんの時間の亡き骸を想って、 私は、泣いた。 どう生きようと、概ね自由だ。 後ろ指を指されるのも、自由だ。 なら何処まで行けるか。 堕ちるのだとしても、ここからなら、ほんの僅か。 なら飛んでみればいい。 どう転んでも、 未来はすぐそこに在る。 逃げられやしないのだ。 さあ、飛べ。 さあ、飛べ!
鳥人、あるいはなれなかった者の ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 710.1
お気に入り数: 2
投票数 : 1
ポイント数 : 30
作成日時 2025-07-27
コメント日時 2025-07-31
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 30 | 30 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 30 | 30 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 30 | 30 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 30 | 30 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


最高ですね。余りにも繊細な言葉遣い、世の出来事に対する視線と、感受してきた今までの道のり、 *****の後が、圧巻です。demonicさすら感じさせる、世界と自分への祈りが、過去を乗り越える。
2過分なお褒めの言葉をいただき、感謝しかありません。 黒髪様のお背中を追いながら、少しずつ精進して参ります。 ありがとうございます。
1むむ。ショーペンハウアーかニーチェか......あっ、だから鳥人(ちょうじん) しかしそういう文脈で読むと、この「見る前に飛べ」的なロマンティズムはちょっと甘い気もします。
2たまたまニーチェのことを考えていたので、ちょっとだけ無駄話をしますが、いろんなアクティブな(再)解釈がとりだせる思想家ですよね。私見では「末人」の問題が一番興味があるのですが、あとは、ユングとの絡みなんかも。たまにですけど、考えたりしています。「生意気であれ」とフリードリヒは言う。むろん、なまいきなだけの人は使い道がない。だけれども、そこに知性と爆発的な何かが加わると「青春」が成立する。だれもかれも、高邁な理想を口にはすれど、心の底ではみんなセックス、セックス…セックスしたいだけ。フリードリヒはセックスする人/セックスできない人という、この単純な二元対立に中指をつき立てた。彼によれば、セックスはするものではなく、観察するもの、そっと覗き見るもの(艶の真髄)であった。ワーグナーの妻は彼を「おしゃべりな狂人」と呼んで軽蔑したらしいが、私はそうは思いません。フリードリヒ・ニーチェ、彼の真の友人はワーグナーでもヒトラーでもなく、千利休ではないだろうか。利休も、また「観察」派だっただろう(それも、茶室から)
2コメント誠にありがとうございます。 個人的に、ツメはいつも甘いのです。 セックスする人/できない人という二項対立に異を唱えた、というあたりには喝采です。 観察とは誠に的を得た視点だと思います。 もしよろしければまた何処かでお目にかかれましたら。 これから、おまるたろう様の作品、拝読させていただきます。 失礼しました。
1間違えました。 コメント誠にありがとうございます。 個人的に、ツメはいつも甘いのです。 セックスする人/できない人という二項対立に異を唱えた、というあたりには喝采です。 観察とは誠に的を得た視点だと思います。 もしよろしければまた何処かでお目にかかれましたら。 これから、おまるたろう様の作品、拝読させていただきます。 失礼しました。
0こんばんは、 >>今日もまた 世界は回る どん底で 蔓延る“好き”を 動力にして この連の表現、素晴らしいですね。 どん底で蔓延る“好き” いいですねえ。
0希望のゴーストと言うキャラクター。冷徹な世界のシステムの溢れ落ちる慈悲深さなど、フレーズを書き写していると、浮き上がってくるこの詩の特徴が、何とも詩評できない形で、私の心に浮かんでくるのです。「自由」とは何か。この詩はそんな答えの出ない答えを探求しているようにも見えました。
0ありがとうございます。 私の未熟さ故に読めづらくなっていると思います。 人は皆社会のシステムによって生かされている部分があると思っています。 その仕組みから逸脱した者の悲劇を切り取ろうとしました。 僕は何重にもマイノリティです。 そうした者から同じ境遇にある方への、何か生きるヒントになればと思って。 大袈裟ですが。 そういう詩です。 ご講評ありがとうございました。
1ありがとうございます! お言葉いただけて感激です。 これからの励みになります。 お背中遠くに拝見しながらのつもりで、これからも頑張っていきます。 感謝です。
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