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連頭越しの式
やまなみがぜんぶ しんと燃えていた 順延されたあらゆる式が燠となって ねえ、いつまでここにいるの？とまっくらな空よりもまっくろな山の輪郭があすともつれる。きのうはちいさかったのでお母さんと空き地に花を摘みにいったのだけど永遠を終わらせる準備のひとつだった。だから雨傘が雨傘になるまでの待合室でわたしたちは出会った。 あなたもその主題で論文を提出した。 芝生にうつろう人びとのいろをなめたわたしの影、すこしだけここは平衡がくずれる、例えばいちねんせいの体育の授業。まわる、ふつう、りょうてをうさぎの耳にして、前照灯のためらいのなさ。 きょうはどこまで走る？ ひとごとを和紙のように、じょうずに貼り合わせてここまで来ました、夏休みの自由研究にしたところで終わらない。見つけられなければないのと同じ、ならゆびの、はら、なでてもすりぬける非在をどう、 わたしも柏手を打ちたい。 ひとり、灯台までの小径を歩いていた。通り抜けたまっさおな大根畑。風はなかった。まだ朝早いけれど太陽が強すぎてぼやけて、こなこなと手につもれる。船を探しにいくわけではない。灯台にさわりにいくのだ。ひとがひとりいないどんな答えもほしくない灯台の体温にあてられて ほんとうはただ じっと燃えさかっていた だけでした 季がめぐる地にあれて 噛み砕いたりんごはこなこなして咽にからんだ くしゃみが止まらないのはりんごのせいだ うそをひき千切ったあとの切れ端が内耳にわたしにのこっている あなたの蹠がくろかった ほおづえをついて窓の 不思議を見つけだすのこんな天気のうろには きまっているんです あの子が 最後の答辞をいいおえたら かけだしていくんです 台本を読んだひとは皆 やさしくさせられ げろを吐きながら 涙目でどんな子も悪態をつきながら 死ねーっといって かけだしていく 粉っぽいひかりであじをつけられ 体育館のいりぐちをまがって振り返らない のこったひとは答辞をひろうのに ひかりを背におとしながら腰をかがめる どうか信じるよわさをまもって おとなたちは かたちがなく ことばもなく ゆうれいでもなく こどもとはちがう つきもひもがもえてみえる
連頭越しの式 ポイントセクション
作品データ
Ｐ Ｖ 数 ： 585.5
お気に入り数： 2
投票数 ： 0
ポイント数 ： 6
作成日時 2023-05-04
コメント日時 2023-05-06
| 項目 | 全期間(2024/04/25現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 4 | 4 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 2 | 2 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 6 | 6 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 4 | 4 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 2 | 2 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 6 | 6 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
静かな抒情がひたひたと浜辺に押し寄せ居て居る様でした。 ねえ、いつまでここにいるの？ きのうはちいさかったのでお母さんと空き地に花を摘みにいったのだけど永遠を終わらせる準備のひとつだった。 こんなフレーズ、センテンスに先を期待させられながら読み進む事が出来ました。
0こんにちは。 正直なところ、詩全体として意味を汲み取ることができませんでした。またタイトルの「連頭越しの式」とは何を意味するのかもわかりませんでした。 でも、全篇を通してどことなく郷愁を誘うような、また、何か儚げな感じを覚えさせるような詩だと思います。 「やまなみがぜんぶ しんと燃えていた」 「永遠を終わらせる準備のひとつ」 「なでてもすりぬける非在」 「どんな答えもほしくない灯台」 「不思議を見つけだすのこんな天気のうろ」 「どうか信じるよわさをまもって」 これらの表現が繊細かつ新鮮で美しいと感じました。
0フレーズを楽しんでくださったのでしょうか、嬉しく思います。 叙情は込めたつもりですが、しかし読み取ってもらえなければないようなものです。 コメントをしていただき、自分でもなにか確かめられた気がしています。 ありがとうございました。
0こんにちは。 率直なご意見、ありがたく思います。 全体として意味を汲み取ることができなかった、というのがまさに課題であると感じます。 一行一行が筆者の血を用いた絵の具だとして、血を流したことだけで満足してしまっていた、絵を描く覚悟が足りていなかったといま恥さえ覚えています。 恥を覚えられることを嬉しく思います。 美しいという箇所を列挙していただき、少しの光明とともにまた詩作ができそうです。 コメントありがとうございました。
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