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車道の蝶
死に惹かれ、羽を広げ、人間に轢かれる 保身を果たせなかった鮮彩な模様はどこか覚束ない ゆらゆらと、ヒトの喧騒に巻き込まれ びりびりと、大きな羽が粉々にされる 私は傍観者で あなたも傍観者で 当事者は死んだ 駅近でも、まだ狭隘道路の方が人情味はあるだろう しかし蝶は紛れ込んでしまった 無慈悲な境界層剥離 押し潰され、ばらばらになり まるで自転車専用横断歩道を渡るおばあちゃんのような覚束なさで この混沌を生きた かわいそうな蝶 私たちは既に電子的な光に取り込まれて 統計学の中に生きるから、 私たちも、あなたたちも、世界中の人たちも、 何も知らない そうやって、薄く、細く、儚い夢は壊された
車道の蝶 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1181.9
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-29
コメント日時 2025-08-18
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


現在の存在についての詩ですね。蝶が粉々になる描写が美しく儚く、弱いものが害を受ける 現在の社会への控え目な批判だと思いました。
1こんばんは、 >>私は傍観者で あなたも傍観者で 当事者は死んだ このフレーズが非常に響きました。 と共に、当事者が死ぬ世界であっていいかと問いかけられた気が致しました。
1自分の感じるところを語ると、この世の刹那と胸に染み入る無常感をおぼえました。 間接的な暗示に富んでいて、想像の余地を感じられる作品だなぁと。
1当事者は死んだと言うフレーズから神は死んだと言うニーチェのフレーズが思い浮かびます。壊された夢は詩そのものと言うよりはむしろ、詩を発生させる詩想なのかもしれません。
1コメントありがとうございます。 本当は、蝶を"弱いもの"というのみの象徴にはしたくありませんでした。がしかし、良い表現が思い浮かばず……。実力不足です。
1そうですね、蝶の存在感と美しさは圧倒的ですもんね。儚い夢が弱いとは限らない。 枕の涙さんの着眼点と考え方は素晴らしいです。
1蝶が粉々になり、塵になり、空気になり、消えていく。 それは現代社会の犠牲者かもしれないし、なにか心の中の希望やら思想やら、美しいものだったのかもしれない。 存在そのものが消えていく破壊。 なんともやるせない気持ちになりますね。 自分も蝶の存在を観たら、心の中に留めて、心の中だけでも少し生き延びさせたいと思うのだけど、 確かに自分はスマホやパソコンに依存して生きる社会に飲まれた生き物だから、その蝶の存在のことも「何も知らない」で生きていくのだろうか。 やるせなくなっちゃった。
1コメントありがとうございます。 タイトルは実際の経験に基づいています。私が高校生でチャリ通だった時に見た、交差点の信号待ちで、すぐそばの車道に横たわっていたビリビリの蝶ですね。 なんだかいつまで経っても忘れられないのです。 えんがわさんの言う通り、あの蝶のことはできるだけ鮮明に心に留めておきたいと強く思いますね。
0車道の蝶 というタイトルが衝撃的、凄くいい。 ただ、ちょっと本文の方、情報量が多すぎるかなと。もう少し漢字の量を減らしたり、違う柔らかい表現に変えたりしたら、より読者に訴える作品になるかなと。 車道の蝶 実際見た光景なんですね、エモーショナルなはずだ。
1蝶なのでしょうか? 詩人の姿でもあるように感じました。 蝶を弱いものだけと描きたくない。 >薄く、細く、儚い夢は壊された この最終行に、ひとこと“強い”表現を入れれば良いのではないか?と思います。
1コメントありがとうございます。 仰る通りですね。情報力の煩さで言えば特に最後の方が反省点かなと思っております。文字体系をうまく使い分けたり、柔らかい表現をするのが苦手な節はあるので、まとまりを意識した上で言葉選びを模索していきたいですね。 ご教示くださり、ありがとうございます。
0コメントありがとうございます。 蝶に関してはさまざまな見方があるかと思います。しかし個人的に詩人の姿という解釈、とてもしっくりきました。 また、ご添削下さった箇所ですが、「え、確かに……!」と思ってしまいました笑。私にとって完全に盲点だったようです、、、。 ご教示くださり、ありがとうございます。
1それでは返詩を。 死に惹かれ 羽を広げ 人間に轢かれ 蜘蛛の網にかかり 蟷螂の鎌に捕まり 台風の雨風に打ち滅ぼされる 保身は 果たせなかった その身の色彩をもっても 今は アスファルトの上を 飛ぶ いまだ残る色彩で 蝶の多くの同胞は すでに亡くなった 卵のまま 幼虫の時 また蛹で身動きできずに襲われ その膨大な死の上 蝶は飛んだ 今 命が果てたとしても 過去も未来も 現在すらなく 蝶はこの世界に飛んだ 儚く 儚い訳でもなく その命を遂行した 蝶も 我らも ここにいない命も 釈迦の入滅の時 集った者たちの末裔だ 手を合わす 輪廻がもしあるならば またこの世を飛べ 今はアスファルトに散り 咲くとしても
1人の心の脆さを蝶の儚さに例えている表現が上手いなと感じました。 蝶が潰されても他人事のように傍観する人々は一つの命が失われたことに気づかない。まるで現代の人間関係の希薄さと世の中の残酷さが生々しく感じられます。
1素敵な返詩ありがとうございます。 「その命を遂行した」「またこの世を飛べ」といったところ、私が書ききれなかった蝶の姿を魅せて下さり嬉しい限りです。存在を肯定された蝶は再び羽ばたくことが叶うのか。 これは見ものですね。
0コメントありがとうございます。 他人事と自分事の境界が曖昧になってしまいがちな現代、模様の確固たる羽を持つのは難しくてたまりません。それでも、無情にも「頑張るしかない」と言われてしまえばそれまでなのです……難しいですね
1最後の「電子的な光に…」のところに安部公房の「砂の女」を読んだ時と似た無常感を感じ取れました。
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