わたしの日常から ちょっと
あなたがいなくなるだけ
あなたの日常から ちょっと
わたしがいなくなるだけ
継ぎ跡だらけのこんな心でも
最後までちゃんと出来ただろうか
甘いミルクティーは喉を押し通る
バス停の夕日はいつも通り
あなたの前では泣かなかったけれど
わたしは隠れてぐずっていた
行っちゃったね、と繰り返されては
傷口のガーゼに滲む青色
用事に急かされるように帰って
無事にバスに乗って揺られる
世界が変わったりはしないよ
あの椅子が空くだけ
そうだね さびしいね
砂糖漬けにした花びらを
一枚ずつ取り出しては
心の奥で噛み締めた
可愛らしいそれらは
ジャリジャリと音を立てる
口惜しさを和らげるように
あなたは素敵だから
きっとそこでも愛されるでしょう
わたしの名前をそこで呼ばないでね
会ったら呼んでほしいけれど
どうかちょっとだけ他人になって
わたしの知らないあなたになって
みんなの名前をきっと覚えていてね
あなたは多分忘れないけれど
次に会うのはいつでしょうね
わたしの知らないあなたを見せて
咲いた花たちを摘んで
また砂糖の中へ閉じ込め
何もかも鮮やかなままであれと
ガラスの壺に寝かせる
わたしの日常から ちょっと
あなたがいなくなるだけ
あなたの日常から ちょっと
わたしがいなくなるだけ
きっとこれから何度も来る
こんな鮮やかな青色の日を
わたしはいつまでも何個でも
ちゃんと抱きしめられますように
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 539.3
お気に入り数: 3
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-09-06
コメント日時 2025-09-09
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
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2025/12/05 21時52分53秒現在
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次にあの花を噛み締める時は、ストレートティーがいいです。 追伸:向こうではヤンチャとかイタズラとかしないでね 甘えんぼさんめ……
0こんにちわ 灰塚木目さま。 等身大のことばで等身大の失恋を語っているのだけど 体験の初さが普遍性をもっている、とまあちょっと大げさだけど そんなことをふとおもいました。
1なかなか上手いですね。題材は普通だけれど、人生に生きていることを、なるべく誠実に文章にするのって、なかなかできないことだよな、と思います。
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