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リベンカ
散り散りの花弁は案外、節操がなく 風に誘われるまま指を離れた 基地の電車たちは 今日の仕事をすっかり終えて はしゃぎまわる子供たちを咎めない ながい春休みのあと シを鳴らさないB♭クラリネット あなたが頬を膨らませ 下唇を噛み 懸命に 息を吹き込むと 線路沿いの秋桜も やわらかな細い茎を大胆に揺らし 木漏れ日が 踊り場を飛び跳ねる 怖そうな先生が ほんとうは怖くなくて 理科教師は若くて声が良いと 道徳よりも楽しいらしい 難解な単語のステップは ときに解説を必要とするけど 明るい声の連なりは ドイツ音階の暗唱のように心地よかった あなたが はじめてふれた音そのものだ 鳴り止まない発車のベルだと思った 黄昏泣きの鈴虫たち 生まれてすぐに飛ぶための翅を失くし それからずっと 泣いてばかりぢゃないか 金色に縁取られた雑木林は ホルンのように枝を絡ませている 金管は苦手という あなたのくちびるが 花占いをするとき小さく震えて なにを 占っていたのだろう 黒々とした木々のすき間を走り抜け 響いたリードミス わたしはそっと目をつむった
リベンカ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2256.4
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-09-21
コメント日時 2020-09-24
項目 | 全期間(2024/12/15現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
語り手が末尾に「わたし」であることが判明します。この瞬間に「あなた」と「わたし」の関係性が生まれ(おそらくは同級生で女子生徒同士)、リードミスに目をつむるような優しい(友情の)まなざしが作中にあらわれると感じます。 >ながい春休みのあと に秋と思われるワードが出てきて、春や夏がすっ飛ばされているのはなぜなのか、思い当たるフシはありますが、そのへんは全く書かれていないですし、そもそも作品として必要性がないので、よくわかりかねますが、とにかく音や色、情景などイメージの豊かな作品だと思います。
0様々な日常の中にある楽器のような音が、詩の中で流れてくるようだと思いました。 確かに、花が気になります。自分が吹奏楽部にいたからでしょうか? 身近に感じていた音楽が、昔あった出来事を走馬灯のように思い出させてくれ、懐かしさで哀愁を誘います。 >響いたリードミス >わたしはそっと目をつむった 確かに最後の、目をつむったで主人公の優しさを感じました。
0rさん ありがとうございます。 春や夏が描かれていない点については、仰るように、書きたかったのは「春休みが長かった」ということだけだったからです。また、春休みが長くなった原因についても今作ではそれほど重要ではなくて、将来自分でこの詩を読み返したときに「そういえばそんなことがあったなぁ」程度に思い出せれば十分だと思っているからです。 > とにかく音や色、情景などイメージの豊かな作品だと思います。 とのコメント大変嬉しいです。私が見たこの風景を、読んだ方がそれぞれに思い浮かべることができる作品を目指しています。
0暁美玲さん ありがとうございます。実際に吹奏楽をされていた方にも読んでいただけて嬉しいです。私自身は全く楽器ができないし、音符もすらすら読めないので羨ましいです。楽器ができるってかっこいいです! ちなみに秋桜は合弁花類ですので、間違えて覚えないようにお気をつけくださいね!テストにでますよ〜!
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