ごぉぉぉ という
鼓膜を 刺すような
波の音を 聞いて やっと
崖に立つ自分に 気がついた
ウロコのように
海面の色は 変幻して
しぶきをあげる 大波は
まるで 怒った猫みたいに
毛を 逆立てた
引いた潮から 垣間見えた
海底の 岩肌が
罪悪感を かきたてる
見えるはずのないものが
見えてしまった
海は生き物
一匹の
生き物の中に 別の生き物が住んでいる
このデカイ 生き物は
いつ 他の生き物を ねじふせたのか
この大海の中でしか 住めないように
もしくは 交渉?
それとも
無数の生き物たちが 住みつき始めて
海は 生き物に 成れたのかな
ウミガメが
酸素を吸いに 顔を出した
海という生き物は
いつまでも 荒々しくも だらしのない
その腹を見せるだけ
顔は 一向も 見してはくれない
ウミガメは 水泡を立てて
海底へ 一直線
僕とカメを 結ぶ 直線上の距離は
数百メートル強あるのに
水泡の音が 聞こえた
永遠 腹部を見せるだけの 海
まるで 甘えた猫
ヴィーナス
カレイの開き
死んだ真似
こいつの顔を 見てやりたいな
無機物の顔した 皮を
はぎとってやりたいな
作品データ
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作成日時 2020-06-20
コメント日時 2020-06-20
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 1 |
| 平均値 | 中央値 |
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可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
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総合 | 1 | 1 |
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2024/12/04 15時25分22秒現在
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海が腹を出しているだけの生物だという発想はなく、とても新鮮でした。それと似ているものとして出されている甘えた猫、ヴィーナス、カレイの開き(カレイの開きは面白くて本当にいいっすね)、死んだ真似、この組み合わせもどこか笑ってしまうような、おかしさがありました。発想としても例えば三連目の「いつ 他の生き物を ねじふせたのか/この大海の中でしか 住めないように」というある種の暴力性はとても好みでした。楽しんで読むことが出来ました。ありがとうございます。
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