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川が流れている   

作成日時 2019-10-10
コメント日時 2019-10-10

川が流れている 高い所から低い所へ 川が流れている 私の足から汚れを洗い流しながら 川が流れている 濁流となって 流れにさらわれた 産まれたばかりの我が子へ 手を伸ばした 届かぬ虚空を掴むかのように 傍らには夫が死んでいた そして川に流されていく 蛇にかまれた傷口を見せながら 何本もの川を泳ぎ渡り みすぼらしい姿となって 父母の元へ向かう 夫と駆け落ちし それきりの父母の元へ 煙が上がっていた 川に流されていく 灰になった父母が 泥水の激流の中へ 飲み込まれていった 私は 歩き出した 走り出した 川の流れの方へ あの向こうへ あの果てへ 見た事のない海という 大きな溜まりへ その果てに 愛しいみんなは行ったから 「お帰り」 気が付いた時、目の前にいたのは幸せな人だった。 「まずは体を洗いなさい。誰か川へ案内し、新たな服を与えなさい」 案内されたその川は冷たく澄んでいた。 海に向かっていた私は、彼の精舎へ迷い込んでいた。 「あの水の流れ、川の果てには海がある。 それは数えきれないほどの年月の間、川の流れを受け止めた水の溜まりだという。 その水の量は神によっても数えきれない。 その海の水よりも多く、子を亡くした親は涙を流しているのを私は知っている。 だがあなたの子もまた誰かの子も、来た時の姿で去っていた。そこに何の嘆きがあろうか。 頼りに頼りになるもの、それは苦難を超えうる四聖諦と八正道、それとそれを行う自らのみだ。 子も親も財産も、過ぎ去りなくなる。あなたはそれを目の当たりにしただろう。 主となりうるのは、整えた自らに他ならない。 十分に十二分に苦しんだあなたにそれらを伝えよう。 きっと今を乗り越えられるから」  川が流れている 柔らかな水が流れている 高い所から低い所へ その流れのように 反することのない川の流れのことわりのように 私は苦難を脱する 流れが海に行くように 私は浮わつかない こうして過去の苦難を脱する 川の流れに身を映して


項目全期間(2019/10/23現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性22
可読性00
エンタメ00
技巧22
音韻00
構成22
総合ポイント66
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性11
可読性00
 エンタメ00
技巧11
音韻00
構成11
総合33
閲覧指数:319.5
2019/10/23 19時45分35秒現在
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