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姉よ   

作成日時 2019-10-02
コメント日時 2019-10-03

おはじきで遊んでいるだけだと云うだろう、決して傷を知らないそんな小さな白い手で、なんと幼いと。 そう聴こえたのだ。床の木目をじっと見つめていたら、すこしだけ軋んだ音がして。 「割った鏡のその破片を拾え」 白いシャツのボタンを外すときの微かな衣擦れの音を聴くのが好きだった。 囁き。糸。雫のよう。 あなたが平気で私の頭に手を乗せるから、その重みで少しだけ聴力を失ってしまうらしい、もう聴こえないから鍵盤に叩きつけて 確かめたかったのだ。 あなたが用意した白い繭の甘さの中に閉じ込められたまま過ごしてきた訳ではない、むしろ私は、それを食い破って羽化したつもりだったのに、なぜ、私はまだ蚕のように地を這っているのか、その瞳が、いまだに絹を紡いで私をがんじがらめにするのはあなたが、その細長い手で、滑らかな指で、私の手を包み込みながら盗んだ沢山のもの。 可愛そうなものが好きだというのなら、あなたにショパンは解らない。


項目全期間(2019/12/14現在)投稿後10日間
叙情性11
前衛性00
可読性10
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント21
 平均値  中央値 
叙情性0.50.5
前衛性00
可読性0.50.5
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合11
閲覧指数:550.3
2019/12/14 17時54分22秒現在
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コメント数(4)
stereotype2085 (2019-10-03):

この詩にあるその気品が野暮ったい。そんな初見の印象を覆すように「姉よ」と題された詩の中身が読み込むほどに伝わってくる。この詩の話者は姉に庇護されながら、過干渉されているのだろうか。ピアノを姉から教わり、そしてなお拘束されているのだろうか。もしそうなら本来ならば自由に弾き、楽しむための行為を、姉によって踏みにじられ、アカデミックで権威的な方向に誘導されている印象がする。「あなたが用意した…」から始まる第4段目は柔らかい描写でいながら痛切で悲痛な叫びのようでさえある。「私の手を包み込みながら盗んだ沢山のもの」という一節は、奪われた時間や楽しいと思う心、また話者自身の自由な感性などを表しているのかもしれない。これは余りに悲しげで胸に刺さる。この話者に自由を、と読み手が願いたくなるほどの描写だ。そしてラスト「可愛いそうなものが好きだというのなら、あなたにショパンは解らない」。これは話者が余力わずかで姉に投げかけた、最後の復讐、反逆のように見える。だがしかしその反逆、復讐でさえ柔らかく気品があるのは、話者自身が相当の潜在能力、持って生まれた才能のようなものがあるからだろう。この最後の一節と「割った鏡を…」はとても響きがよく、読み手の心を掴み取るのに充分だと思う。詩に普段親しまない読み手のニーズに応えているといったらいいだろうか。これは私にとっては良いことだと思える。とにかくも初見の印象を覆しながら、濃密なドラマ性に誘い込むのはさすがだと感じる。かなりの良作ではなかろうか。ただもし私の「ピアノをどうこう」という読解が間違っていたのなら失礼を。

survof (2019-10-03):

そっか、確かに作品全体を離れた位置から読むとそういうふうに読めてしまいますね。指摘されて初めて気づきました。読みは読み手に託しているといいながら、今回に限っては「ラファエロ」からの流れがあるので、その読まれ方はさすがに嫌だな、笑。書く際に細部にとらわれ過ぎていたのだと気づかされました。ありがとうございます。

南雲 安晴 (2019-10-03):

 はじめの二行が秀逸だと思いました。  そう思っただけでなく、この部分から私は有島武郎の『或る女』の中に書かれていた次のような文を思い出しました。記憶が正確かどうか、案じられるのですが、 >こんなでもなかなか心ははたらいていらっしゃるんですからねえ。  というような文です。老婆が幼い女児について言っている言葉です。  この『姉よ』という作品は、はじめの二行の完成度が高いため、あとの部分が読めないような感じがしました。  ただ、「手」という語が作中に4箇所出てきて、それが作品を縦に貫く柱のように感じられ、たくましく思いました。

survof (2019-10-03):

南雲 安晴さん 確かに指摘されて読み返してみると、最初の二行とそれ以降の繋がりがあまりうまくいっていない感じがありますね。繋ぎ方を失敗したか、あるいは全体構成があまりうまくいっていないか、何か原因があるはずなので、ちょっと自分でも分析してみます。もしかしたら、それぞれのパーツがバラバラになってしまっているのかもしれません。ご指摘ありがとうございました。

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