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多摩川という異社会
夜、多摩川沿いの土手を、目的もなく心を動かすこともなく、小さな足音をだすひとつの 物体のまま、歩いている。 これはしばらく続けている習慣であり、 私にとっての逃げ道。 街灯も少なく、暗闇としか言い表せないその中をひたすらリズム良く、淡々と歩く。 地面を噛み締めて、漂ってくる川の匂い、冷たさを纏う風を感じる。 やけに煩い街中や人混みから、一時と離脱する。 ここは自分にとっては「異社会」である。 私と同じく、逃げるように来たであろう ランニングや散歩をする人々、また逃げるとはいかなくとも帰り道にその異社会の中に誘われた人々とすれ違う。 それぞれの呼吸が共鳴しているような、 感覚が一体となる錯覚に陥る。 私がどこまで歩くかの目印は、 歩く途中にポツンとあるダイドーの自販機まで、と決めている。 そこでホットのカフェラテを買って、飲みながら引き返す。寒い時期は温かいカフェラテが身体中の血管に混ざったかのように染み渡ることが心地よい。 ダイドーの自販機は、飲み物を買うと4桁の数字が表示される。これがゾロ目になれば当たりとなり同じ商品がもう一本出てくるらしい。 当たったことはない。 「…当たりたくないな」 そんな気持ちにいつもなる。 当たってしまったら、なにかを引き渡す、またはなにかが終わった気がしてしまうから。 横を見れば何もなく、焦ることもない川。 上を見れば何もなく、そこに留まっている空。 このまま、何もない異社会が続けばよいのにな。
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多摩川という異社会 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 203.0
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2026-01-26
コメント日時 2026-01-26
| 項目 | 全期間(2026/01/28現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


イイですね。こういうのにコメントついてほしい。
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