うしなわれた金属片を探して回収している。この土地にあるチタン、ステンレス、スチールの欠片、すてられたアルミニウム、亜鉛、ニッケル、真鍮のドアノブをひねる。うちすてられたものをとりはずして、たいせつに保存する。みじかい物語の断片を捕獲、季節の移ろいのなかで破損したそれらは、まるで脆いプラスチックのように摩耗している。遠くの青としろく反射するそれらは、長い時間のなかでところどころが錆びついている。木材は積み重ねられる、材木はしだいに層をなしてゆく。ところどころに流れるかわいた風にさらされて、とりはずされた窓枠、料理のレシピ、木々は透明な大気にまもられている。のこされたガレージと侵食する森や夢の残照、小鳥のことばを半角におきかえて、もう一度、そらを飛んでほしい。湖にはやさしい雨が降りはじめて、とりだした折りたたみナイフで切りとるその光景にたくさんの光の帯が揺れている。ゆめのなかでふたたび出逢えるように。
紙片
すこしの水にもとけてしまう。ところどころを繋ぎあわせて、そのための工具と材料を集める。とける、とけないように。とけていかないように。
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 415.5
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作成日時 2026-01-20
コメント日時 2026-01-21
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
| 項目 | 全期間(2026/01/25現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
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| エンタメ | 0 |
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| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
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| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
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閲覧指数:415.5
2026/01/25 19時44分27秒現在
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まず「プレーンな」という言葉が浮かびました。もうひとつは「宗教的な」でしょうか。紙片、というのも聖書の「詩篇」の掛詞でしょうし。光の表現のインスタレーションを文字にしたような。すごく今っぽい作品です。
0●小鳥のことばを半角におきかえて、 ●とりだした折りたたみナイフで切りとるその光景 という、このふたつの「気の利いた詩的フレーズ」を思いついて 書かれた散文なのですが、ほかがあまりにもありきたりなのが 残念だった。
0クリアファイルというのは主に写真や紙の印刷物やなどを挟んで残しておくモノですが、 例えば会社を退職するときなど、 溜め込んでおいたクリアファイルの資料を捨てることには感慨深いものがあるでしょうね。 仕事とともに歩んできた様々な物品、その時間の経過と記憶を廃棄してしまうようなものですからね。 この詩も今まで順序よくたいせつに保存していたモノが次第に破棄されていくという、 段階的な言葉の切り取りや重なったモザイク片の構図には、 物質にみる時間と記憶の移り変わりを刹那に感じてしまいます。 キーワードは「紙片 と間に置かれた溶解を指す言葉と解体(崩壊)でしょうか。 サルバドール・ダリ絵画に「記憶の固執の崩壊」と題された画があります。 これは先に「記憶の固執」と銘打たれた画を原子レベルで分割するように解体させて描いています。 夢と現実に於ける記憶の曖昧さを無意識という超現実の世界観で描いた記憶による固執を、 今度は物質レベルで分割(分解)させて見せているわけです。 そのようにして精神的な世界観からの離脱。 新しい科学の段階へ移行する未来を予言して見せている。 今日にみられるスマフォに組み込まれたAIの技術、 これは人々が直接接触しなくてもコミュニケーションできるという、 未来的且つ非人間的な能動受動への耐性でもあるわけです。 そのような記憶の残像をクリアファイルの中に収めた言葉たちが読み取れてきて、 何故か刹那に虚しい。 佳く書けた詩だと思います。
0よく書けた、 というよりもはじめからそのテクスチャがしっかりと基盤になっているからでしょう。
0その様式を採用する意味が内容から読み取れると私の好みなのですが、「工具と材料」というのが先にあって、それを埋めていこうとするような感を少し受けてしまいました。金属やプラスチックや木材といったものらが、紙片のための呼び水、以上の機能をはたしていたほうが、読み応えのある作品になったのではないか、と愚考します。
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