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狭間
「ねぇ、起きて! あたしが寝るまで寝ないで!」 うーん… なんだろう、この既視感 面倒くさいわがままに 居心地の良さすら覚えるこのやりとりは いつしか消し去った記憶か 存在するはずだった未来か 「ねぇ、起きてよぉ〜」 はぁ、しゃーねぇな… 感じる必要のない憂鬱に浸りながら ゆっくりと目を開ける その瞬間、既視感が違和感に変わる しかし、そんなことどうでもよかった 「あっ、やっと起きた! 今日はもう寝かせないからね〜」 うるさいなぁ… 声が聞こえるうちは、 ぬくもりが残っているうちは、 まだ、大丈夫 「ねぇ、水!お水とって〜」 それくらい自分でとれるだろ まったく… 膨らむ違和感を無視しつつ、 何事も無かったかのように世界は回る 「んっ…」 君の頬に触り たしかなぬくもりに安堵する 「ふふんっ」 いつもの笑い声が 部屋にこだまして遠のいていく 「」 … もはや言葉など必要ない この、 永遠とも刹那とも言える時間を 無限とも虚空ともとれる空間を 今はただ、 ふたりだけのものにしていたかった しかし、この言い表せない違和感は いよいよ虚無感、絶望感へと変貌を遂げる なにか、大事なことを忘れている気がして、 でも、何も思い出せない いつまでもどこまでも続いていく… と、本気で思っていたのに、 どうして、心の奥だけが冷えていくんだろう あぁ、終わってしまう 脳に必要のない情報として処理されてしまう これは狭間だ 天と地の、生と死の、夢と現実の、 過去と未来の、終わりと始まりの、 愛と憎悪の、出逢いと別れの… 狭間だったんだ … 「ねぇ、起きて!」 誰もいない部屋に 微かに、でもたしかに君の声が響いた ── そんな気がした 狭間
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狭間 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 498.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-11-22
コメント日時 2025-11-30
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


こんにちは。 >>あぁ、終わってしまう >>脳に必要のない情報として処理されてしまう 記憶は不思議なものですね。 未来との狭間で、もし記憶が丁寧に正しく作動していたら、 なかった別れもあるかもしれないけれども、 なくしたものもまた記憶の狭間で揺れている。そんな印象を受けました。 ラストは、 君の声が響いたか響かなかったか その狭間の揺れ、を感じたような気も致します。
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