ねぇ
過去、何千年前に僕が「月が綺麗だね」って
君に言ったとして
もちろん、其処には何の意味もなくて
ただ君も「そうだね」って二人
その夜の底で息をしてるだけだったんだろうね
でもさ、今となっては僕が、君に無責任に吐ける言葉じゃなくなってしまったんだ
だから僕は過去、数年間その夜の底で、息ができずにいて
君と眺める月を、一口で呑み込んで仕舞えば
きっと妬みも、憂いもこの身体に溶けきるんだろうなって、思ったんだ
無責任なんだよ本当にさ
せめて死ぬ前に「嘘でした」
とか、何でも一言残していくべきで
そのせいでどこにもやれなくなったこの思い出は、ちょっと前までは意味の無かったものばかりなのに、今ではその全部が意味を持ってしまってるんだ
今でも、言葉の一つ一つが僕の口を縫いつけていて、さよならですら貴方の全部を否定してるようで言えなくて、今でもこの心では月明かりが憎くて
もう本当、自分がくるみ割り人形みたいだなぁ
ねぇどうしたらさ、なにも知らなかったあの頃の僕と君が、月の美しさを純真のまま語り合えたのかな
多分ね、僕ら出会ってすらないんだけど
どこかで、夜の底で、息を一緒に吸ってたんだ
今年もあの街路樹は、春に花を散らすんだ
そこで僕は君を忘れようと思ってたんだ
だけど溢れたのは言葉じゃなかったんだ
ただ僕の涙が、僕の見る景色を歪めていたんだ
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 304.3
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-10-22
コメント日時 2025-10-22
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:304.3
2025/12/05 20時16分01秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
どういう理由で、無責任に吐ける言葉じゃなくなったのかを、書いてあれば、もっと切迫性と真実性が強まる気がします。つまり、自己開示を、読者にすること(できるならば)。文章の上手さはかなりのレベルにあると思いました。あとは内容の独創性、独自性で勝負してほしい所です。真実に書きたい言葉を書かなければ詩ではないと思いますので。詩のレベルまで自己を引き上げて欲しいと思います。
0真率な感情は詩を産みますね。月が奇麗だねと言う言い方は夏目漱石のプロポーズの言葉として有名になって居ますが、この詩に即して言えば、余りそういう外部的な事実は意識したくなくなってしまいました、この詩を読んで。
0