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ある夏の殺意。
それは、生臭い惰性を敷き詰めた蝉の声がねっとりとした今は記憶も遠い夏の日の事でした 1999年、夏の殺意にあてられた私は、今は亡き友人の葬儀に参列していたのです。 きっと強すぎたお香の薫りのせいでしょう 乳白色が静止した明るい陰影と、ほろ苦い世界の記憶にうなされて私は胸一杯の涙を心の端っこから外へ、外へ、と掻き出していたのです 退屈が人を押し潰すと言うのもまた、真なのでありましょう この世界にジャムでも塗るように、青白い顔した人間の形をした、佇む得体の知れない群集達が、ザーザーザーと雨粒のようにざわめいているのです。 私は、もしもこの圧倒的な違和感と、異物感に曝されて、私を取り囲み、蹂躙するよく見知った知人達の顔に模した、この見知らぬ世界の見知らぬ住人達が、ふとした瞬間に降りかかる災厄のようなものにすり潰されて この世界の空白ごと、ローラーか何かで、押し潰され、真っ平らなただ1つの論理、それのみが、この亡者共が支配するざわめきを埋め尽くしてしまえば、この私の世界にも新たな光が差し込んで、もう一度再び生を獲得できるのではないだろうか? そんな醜悪なる妄想に身をよがらしていたのです。ざめざめざめ。「静まれ、私のバルトリン線」 …1999年、夏 あれから14年 世界は変わらず平凡で、今も変わらず地球は周り続いているようです。 背景、もはや名前も思い出せぬ愛しき私の友人へ 私はまだ生きています。
ある夏の殺意。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 433.9
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ポイント数 : 0
作成日時 2025-02-03
コメント日時 2025-02-03
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


あの頃は酒鬼薔薇が事件を起こしていたり、残酷な事件が多かった。他人に殺意を抱く攻撃性やストレートさが、メディアの世界でも大きく幅を効かしていました。あれから30年経ちますが人の心はそうは変わらないはず。医薬品で抑え込み内に籠りて自殺者が絶えない国になりました。 1999年の夏ですか。不登校を決め込んだ歳です。いやあ懐かしいなあ。文章のシュールと俗悪性に郷愁を感じました。
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