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作られた雪だるま   

黒髪 
作成日時 2018-01-22
コメント日時 2018-01-31

 

もし僕が雪だるまだったとしたら 寒さからできて寒さの中におかれ 地蔵の様に無言な内的世界では 心を一人だけで持っているだろう 雪だるまは何を考え続けるのだろう 美しい夢が春や夏や秋だけではなくて その麗しさを保った白の中で 消えるのか生まれ変わるのかわからない現在の中で 差別を塗り込める自然の中で 粉々に潰された心の中では 僕は感じたかったことがある 平穏に薄明るい太陽と やや単調な空気を 誰かと同時に 思った経験 全ての雪だるまが等しく生きている 丸い体は転がってできた 小さく生まれてだんだん大きくなった 木の棒の手と 人参の鼻 小石の目 死に憧れるほどの強さはない 心がりんごの味にであったとき 歓喜で世界は埋まった 雪うさぎ そしてたくさんの形 どこまでも広い 夢が進化することを望む 永遠に向かって少しずつ拡張していくこと たどり着けぬとも投げ出さない きちんとした心を自由に動かせればきっと 普遍的な未来からもまだ達成されてはいない姿を 雪玉の飛跡に感じながらも空から 間違った雪だるまなんてない 夜闇の中で笑っている 心が明るくなった雪だるま いつから生きているかを 知っているのがちょっとした自慢 語られる光栄に身を浴します 父なる雲を見上げて 母なる海を思い 最後に隠してきた秘密を きみに手渡すことができた 溶けて泥水になっても 生まれてきたことに意味はある 死が悲しみではない ゆっくりとして日差しが射す中で 歓声が上がる それは地雷が爆発する音なんかじゃなくて 意味を持たせるもの 僕自身が嬉しいと思ったもの


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沙一 (2018-01-22):

もし僕が雪だるまだったとしたら おもしろい考えだなと思いました。 読み進めていくと、詩の主題も文体も真摯に書かれていて、胸に迫ってくるものがありました。 最後に隠してきた秘密を きみに手渡すことができた ここがとくに沁みました。 いつかはとけて消えてしまうという、あたりまえなのに、普段は秘密のように隠されていること。 メメントモリを、すてきに表現されていると感じます。

黒髪 (2018-01-22):

沙一さん こんばんは。コメントありがとうございます。 雪だるまを作った経験は三回くらいですが、ちょっと少ない感じがします。 漫画家の坂田靖子さんの作品に、雪だるまが素敵に描かれているのを読んで、雪だるまいいなあと、 考えるようになりました。 考えるということは、性質として自由である、少なくとも自由に向かって行くのが本当である、と思うので、 この詩は、そういう考えのもとに書きました。そういう意識を持っていると、色んな困難が溶けてくる ような気がします。 雪だるまのいいところは、偏見から自由であるようなイメージを抱かせるところではないでしょうか。 差別の心は、差別の言葉と絡み合って、根深く人を損ないます。そんな風に生きざるを得ず、あるいは 考え直すこともできぬまま来て、本当の倖せは、自分と人の両方にないと、実現できないと思うようになりました。 そういう気持ちでいると、最低でも何か解けてくる。そういう、自分にとって正しいことがあってこそ、作品という 形で、客観的にも鑑賞できるような言葉を、操れるようになるような気がします。 そういう自分になりたいと思い、頑張ってきました。 人に対して手渡したかった秘密、これを、沁みるとおっしゃっていただいているのは、やはり、 心の一番の望みであるという証拠のようなものだと思います。 そうですね、いつかはとけて消えてしまうということは、普段は隠されている。それか、隠している。 みんなが不文の上で、見守っている。そこは最低限の、秘密です。 メメントモリは、スピノザの言葉を、思い出します。 「自由な人が考えるのは、 ほかならぬ死についてである。 そして彼らの賢明さは、 そこから死ではなく、 生について熟慮をはじめることだ。」

まりも (2018-01-27):

一連目の助走部分、丁寧だけれど・・・2連目から読んだとしても、あれ、これはもしかしたら、雪だるまの心の声なのではないか?と、わかるような気がします。 2連目から始めた方が、えっ?という驚きを読者に与えることができるような気がしました。 2連目以降の流れは、とても面白かったです。

黒髪 (2018-01-27):

まりもさん こんにちは!コメントをありがとうございます。 2連目から読んでも、雪だるまの声とわかる、ということ、そうですね。僕は、内容と違う、技術と言うものを、 文体以外に考えたことは、あまりありませんでした。連による描き方は、そういうスタイルによる伝達の 違いなどを生むわけでしょうか。驚きを与える、ということですね。その方が面白そうだし、楽しそうでも ありますね。第1連で、重要箇所というのは、「差別を塗り込める自然の中で」ですね。これは、御札に 書いて、手渡したかった。2連目以降、流れを面白いといってくださり、ありがとうございます。 余談ですが、この詩を書いたあとで、今もう一度読み直してみると、雪だるまがあって、そのまわりを 雪玉がヒューヒューとびかっている映像を思い浮かべると、ほわほわします。健康事情により、一つ以上 のものを、想像する能力が失われていたので。

百均@B-REVIEW ON/ (2018-01-31):

>全ての雪だるまが等しく生きている >丸い体は転がってできた >小さく生まれてだんだん大きくなった >木の棒の手と >人参の鼻 >小石の目 >死に憧れるほどの強さはない 滅茶苦茶いいです。雪だるまっていう軸があるのでものすごく読みやすいかった。且つものすごくフレーズが鋭く尖ってて凄いですね。言葉にしたくないなぁ...

黒髪 (2018-01-31):

百均さん 読んでいただき、コメントもありがとうございます。 雪だるまを考えることで、何らかの意味が生まれるものだとは、書いてみてわかることでした。 そういう意味では、この詩は、雪だるまみんなにささげられねばなりません。 雪だるまは、僕自身の中にあり、僕自身の一部は、雪だるまの中にあります。 雪だるまを知るということは、雪だるまを作る人間を知るということでもあるでしょう。 親と子、教師と生徒、友達、色んな付き合いの関係があります。


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