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金属の魚
渇きに堕落した砂漠の空を 金属の魚が舞うが如く游いでゆく 残酷でありながらも 凡庸なる陽が眠りにつくと 闇中を銀鱗は月光に輝き 風評に波打つ砂丘を越え 言葉が乾涸びた湖を超えて 透明な直線を飲み込みつつ 宇宙を翔けるかのように 暗い砂漠の低い空を飛んでゆく 空と地との境界を越え 過去と未来の胸懐を過ぎ 見知らぬ何ものかの教戒を 己が金属の鋒を以て貫くために 先駆を諦めた砂漠の空に 安直を唾棄する眼球の放つ矢が 見えない直線を架けてゆく ありふれた砂粒を振り返らず 真空の鰭が虚空を掻き 青白い月の光芒を喰い破って 金属の魚は去ってゆく まだ見ぬ煌めく粒子が連なる 玄奥なる海龍を目指して
金属の魚 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1346.4
お気に入り数: 0
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2023-05-03
コメント日時 2023-05-24
項目 | 全期間(2024/12/10現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
漢字の、硬質な世界観が素敵ですね。 メッセージも追ってみたけれども そういうものよりも、やはり作者の漢字の、その、語の選択性に 驚かされた。
1コメントをありがとうございます。 私は詩を書くとどうも硬くなってしまう傾向があるようで、もっとやわらかく美しい詩を書きたいと常日頃から思っております。 でも、語の選択性に驚かされたとのコメントをいただき、とても嬉しかったです。 ありがとうございました。
1やはり、漢字は、硬く、挑発的でもあるけれども この作品のように、それをキラキラさせることもできるというのは学びもありました。 ありがとうございました。
0詩の源泉が枯れないようにいつも注意深く眼差しを開いていないといけない、それほどにすぐに無残に枯れ果ててしまうものだから。 そんなふうに常に自戒されていらっしゃるのかなと思いました。 私なりの解釈ではありますが、そのようなメッセージが含まれているように感じました。 砂漠というと「星の王子様」を思い出すのですが、空飛ぶ魚は飛行機のようでもありその世界観が思い起こされました。
1コメントをありがとうございます。 この詩に込めたメッセージは、かなりわかりにくかったかな、と思っていたのですが、受け取っていただけてホッとしました。 星の王子さまは一度だけ読んだことがあるのですが、一輪の薔薇の花への王子の愛情と、「大切なものは、目に見えない」というキツネの言葉が印象に残っています。 今考えると、詩を書く姿勢への何らかのヒントになるような気がします。
0「海龍」というのは調べたら旧日本軍の水中特攻兵器の名前みたいですね。浮遊する金属の魚というのにスチームパンクな魅力を感じていたのですが、もし「海龍」にそういう意図があるならば、残念な感じがします。直喩を多用する書き方が、砂漠という場面に合っていると感じました。
0コメントをありがとうございます。 海龍が旧日本海軍の特攻兵器の名前だとは知りませんでした。もう少しよく調べてから書くべきでした。 ですからこの言葉に特攻兵器の意味は全く含まれておらず、文字通り海に棲む龍をイメージしたもので、素晴らしいもの・すぐれたものなどの隠喩です。 自分がいいと思って選んだ言葉が変な誤解を招いてしまう、という話を時々耳にします。言葉を使うということは本当に難しいですね。 ご指摘ありがとうございました。
0金属の魚が泳いでいる姿を想像していました。海の底は冷たく暗くその中をゆったりと泳ぐ姿を。そんな絵画があったらきっと神秘的だろうなと思いました。詩にも重みがあって、私には作れない詩を書ける方なんだなと感じました。
0コメントをありがとうございます。 私は詩を書くと、重く硬くなる傾向がありますので、いつか、柔らかく繊細な詩を書いてみたいと思っています。
1金属の魚に対して、金属の鋒かぁ。と少しつまらない感がありました。そこはなにか、人間臭い、生々しい何かで貫いてほしかったなー、などと思いました。
0コメントをありがとうございます。 なるほど。 そのような見方もあったのですね。 今後の詩作の糧とします。 たいへん参考になりました。 ありがとうございました。
0こんにちは。 金属の魚がにぶく光を放ちながら、青い夜空を游いでいくイメージが浮かび、それはとても素敵な心象風景のようにも思えますね。 そういう素敵なイメージが喚起されて、それはとてもいいことなのですが、 ただちょっと思うんですよね。 例えば、絵や動画でもそのイメージを描くことはできるのではないかと。 詩という文章表現である必然性。 詩文として見た時に、文章が説明的かなと思いました。 金属の魚が夜の砂漠を游いでいくイメージから喚起される感動。 その感動を言葉で表現する方が、より詩なのかなと思います。 言葉でイメージを説明して、そのイメージに感動してもらうのではなく。 イメージから呼び起こされる感動、それを言葉として抽出する。 そういう書き方もあったりします。 例えば自分がそういう書き方をしたらどうかというのを、返詩として書いておきますね。 まあ、うまく書けているかどうかは別として。 ああ 無情という情は、常識が砕けて散る星 織姫様の手から離れた 小さな魚の鱗のきらめき 点々と落ちていく光の粒子 月明かりをたどって いつか海龍に会う約束
1コメントをありがとうございます。 「例えば、絵や動画でもそのイメージを描くことはできるのではないかと。詩という文章表現である必然性。」とのことについてですが、自分のイメージ通りの、満足のいく絵や動画を描くには、相当の技量が必要だと思います。 残念ながら私にはそれだけの能力はありません。 イメージを描くか感動を描くかということは、端的に言えば、叙景詩を書くか叙情詩を書くかということだと思います。 ただ、一見叙景詩に見えてもその中の語句に何らかのメタファーが含まれているならば、叙景詩とは言えない場合もあります。 また、叙景詩と叙情詩とを明確に区別できない場合もあるそうです。 この詩に関しては、幻想的なイメージを感じてもらうか、何らかのメタファーを読み取ってもらうか、それは読み手にお任せして、自由に受け取っていただこうと思いました。 なお、いただいた返詩ですが、「小さな魚の鱗のきらめき」以降の四行の表現がとても繊細で美しいと思います。 ありがとうございました。
0硬質な言葉遣いの中にも、柔軟な手つきが感じられる、詩流だと思いました。眼球の放つ矢が、と言うフレーズみたいに、通常日常語では使わないながら、普段から思って居た事、情念の根拠などを、うまく言い当てた表現がつまっていると思いました。
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