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恋の病
君と僕は見つめ合っている。深く、透き通った泉を覗き込むように純粋に。しばらくそうした後に、どちらからともなく二人は歩み寄って、ムーディな情緒の中に二人で一緒に飛び込んだ。僕は君の腰に手を回し、なるべくゆっくりと瞳を閉じ、鼻の頭を、君を感じる場所まで近づけた。そして、やはり君も同じようにそうした。二人の唇のZ軸は、寸分も違わず調整され、その後にxy軸が、非常に慎重かつ丁寧に一致させられた。 そして君の艶っぽい唇が僕のそれに触れる。柔らかな感触と生ぬるい体温の実際的な情報が、僕の脳の中枢を刺激して、やがて長い間忘れられていた感情の小部屋が、熱暴走による慕情の膨張によって破られる。僕の心臓は、理性による抑圧を免れ、我を忘れた闘牛のように、無秩序に拍動を早めている。 この濃密な時間は、閉じられた瞳の内側で刹那と永遠の二面性を持ち、二人だけの小宇宙がその空間を浮世世界と隔絶する。僕と君は一時的な共同体として、ただ一つの感情を共有する。 この心の昂り、感情の爆発は重力にも勝り、超常的な浮遊感を形成する。僕は翼を持っていた。どこまででも飛んでいける、そんな気がした。 君が動くまで、僕も動かなかった。動けなかったという方が正しいかもしれない。 しばらくして、君の唇が僕の唇からゆっくりと引き剥がされる。その感触が遠のいていくのに伴って、2人の小宇宙は段々と薄まって、やがて煙のように消えていった。 現実世界に二人の若者が帰還した。二人とも、健全な発熱を発症し、未知の病に罹患した。 二人の頬は紅潮し、瞳孔が大きく見開かれていた。この病の初期段階に見られる、代表的な症例である。 あえて治療を試みるのであれば、その治療薬は時間のみである。そうとだけ言っておく。
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恋の病 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 288.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2026-01-18
コメント日時 2026-01-18
| 項目 | 全期間(2026/01/25現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文

