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やさしいウインクを夏風に乗せて
きみを思うと星の海に 水色のビー玉たちが浮かんでるようさ もちろん きみへの思慕の結晶のように 蝶のあしらわれたパティスリーをきみは モンブランの香りたなびかせながら後にする 一つ、また一つと石段を降りるとまた坂道で 片隅のアパートに吹く夜風を きみはどんな気持ちで受け止めるのかな あの朝僕は ちょっとした決意を胸に歩いていた ちょっぴり気取ったように心を澄ませて これからは ひっそりと世界に溶けるように生きていこうって 1時間ほど後に きみは僕へと舞い降りるように訪れた "はじめまして!"と肌寒い工場内に パンジーのように可憐な笑顔がパアッと咲くや それは真っ黄色の稲光となり僕の胸を染め上げてしまった 僕らまるで風に吹かれながら きらびやかな緑を背に逢ったようだよ きみの黒髪はなんてったって揺れてたんだ 2人だけの作業になって 甘いあまい沈黙が降りた さざ波のように言葉を寄せてきて 目一杯の誠実さを作って応えると 水色の紫陽花のような笑みが溢れ 定番の女の子関連の質問になると きみの笑顔は瞬く間に悪戯っぽくなる まるで紫の紫陽花のように と思って少し経てば サッと雨が上がってしまったような無表情 しょんぼりしながら黙々と作業をしていると "元気?"ってまた伺うように覗き込んでくるきみ 何十回反芻したか分からないくらいさ きみのつぶらな瞳と小さな胸 何百回と往復しながら 季節巡れども僕はずっと きみの背後に南国の森を見つめていた なのにいったい 何があったというの あの日々のきみはまるで 砂漠で枯れゆく花のようだった 笑顔は氷細工のようになり いまにもひび割れるかのように固まった頬に 定まらずに揺らぎ続ける虚ろな視線 きみは目に見えて冷淡になり 冷たい風が僕らのあいだを吹きすさんでいた 止むことのない砂風に吹かれ続けているようで 白い制服の上にきみの胸の織り成す波の そのやわらかなやさしさに泣きそうだった 決まっていた別れの間近になると きみは力振り絞るように僕にやさしくしてくれた なのに僕はきみにやわらかく接することができなかった 微かだけれどもたしかな距離を咎めるようなきみの視線が痛かった 輝ける青に抱かれたあの町で きみは今、どうしていますか? きみが温かい花屋を訪れる そんな夢を見ています 老婦人の静かな愛に満ちた花屋を その朝はほんのりと霧に覆われていて 小さな水色の花が揺れると 切なる淡さが蝶のように きみの胸をゆるやかに巡る きみは遠い春の桜吹雪を思うでしょうか? 濡れそぼつ桜の木の花びらから 静かに落ちる小さな雫 指の腹でそっと抱きとめるような そんなきみが僕はずっと見たかった きみは花を胸に抱いて 霧の街路を行くでしょうか 胸にその水彩をそっと描いて 丸眼鏡の老婦人に手を振るでしょうか 夜になれば きみはやはり一人になる 僕は夢見ています 遠い夏の朝に 薄紫のシャツなんか着て やさしいウインクを夏風に乗せて 朝日に煌めく星にしてしまうような しっとりとしながら 逞しいきみを
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やさしいウインクを夏風に乗せて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 76.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2026-01-03
コメント日時 2026-01-03
| 項目 | 全期間(2026/01/04現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文

