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無謬
壁を崩せなかった無謬を、 ざぶんと、平穏が寄せては返す。 分断されたまま、何も変わらない。 小さな平和の塊が、差別も暴力もそのままに、 茫漠とした悲劇のさなかを、 まさに境界を作らんとする。 世界の理。 それでも。 人が人であるために。 一面の花畑は紡げなくとも、 小さな花壇くらいは作りたくて。 汗水を垂らして拵える。 それが何の意味をも齎さなくとも、 まだこの轍には力があると、 信じて、信じ抜いて、 馬鹿を通り越して真正直になって、 気がついたら裸で波打ち際に転がっていた。 寄る辺ない身の上、結晶化された血肉が鎧となり、 打たれても蹴られても、罅も入らない。そうだろうか? 未練ならある。 でも、もう独りではないと知ったから。 自由落下してみるのも、いいと思った。 さよならは大人の味。 反芻しても顧みられなくて、 孤独の檻を嘲る子どもには、 まだ解らないビターな香りを唇に残す。 焦がれても報われない。 円環が破断しないで、ループする宇宙。 残忍さが、ダイヤモンドのように煌めく。 逃げられない。 閉鎖された何の過ちもないこの世界との繋がりを、 冷たく温かく、 手掛かりとして残すよりほかなくて。 手繰った先に誰がいようとも、 覚悟なら決めた。 まだ元気だった頃の世界は、 今よりもっともどかしくて、残酷だったかもしれない。 嗚呼。
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無謬 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 233.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-01
コメント日時 2025-12-01
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


ああ、良い詩ですね。 ことばに重さがあると言いますか。 真剣さが伝わってまいります。 即興で書かれたのですか? 即興ならば、本当に凄いです。 >一面の花畑は紡げなくとも、 >小さな花壇くらいは作りたくて。 ここがいちばん好きです。 ちゃんと実現可能な地に足がついた夢(目標)を見据えられてるように思えて。 やはり筆力は凄いですね。 ことばが流麗に継ぎ目なく流れている。 良い詩を読ませていただきました。 ありがとうございます。
1お言葉ありがとうございます。 心より感謝申し上げます。 身に沁みました。 過分なお言葉ではありますが、やってきてよかったと、素直にそう思えました。 詩はだいたい即興で出るのですが、最近は少し寝かせたりもしています。 使えるアイデアばかりが溢れ出るわけではありませんので、大切に温めたいと思って。 我ながらミスも多いです。 僕はまだ未熟でそこまで客体化が出来ませんので、コメントは滅多に出せないかも知れません。 ですが、作品、読ませていただいて勉強して参ります。 最後に、重ねて御礼申し上げます。 ありがとうございました。
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