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特別な凡人
生まれてこの方20数年。 今になって悩みが尽きないのです。 私はしがない凡人です。 特別なことは何もない。いや、むしろ特別になってみたかった。ダリは天才の真似事をすれば天才になれる、と言ってみせましたがそれは彼が初めから特別だったからでしょう。 拗ねているわけではないのです。ただ事実を述べているだけに過ぎません。だって誰もが特別な人間であると本当に言えるのでしょうか。そんな手垢のついた論理で納得できるほど利口ではないのです。 事実、私はまだ凡人のままです。 他の人みたいに、輝かしい功績や才能があるわけではありません。もちろん私の特色というのは存在しているでしょう。性格も他の人と違います。 しかし、それを特別とは思えません。 彼等と何が違うのでしょう。何から何まで違うからこそこんなことが起きてるんでしょう。 私は特別にならないと寒空に凍える童のように小さく縮こまった内心が締め付けられるのを耐えるしかありません。それは苦しいです。 高望みでしょうか。そうでしょうね、人には人の器や限界というものがあります。私はきっとこの程度なのでしょう。それを悲しいとは思いませんが腹立たしく思います。 努力できるのも才能とはよく言ったものです。 それを思うと私は努力の方向が間違っているのかも知れません。未だ私は私を満足するに至ってない。誰かにとっての特別になってない。 この肥大化した承認欲求故に私も虎になるのでしょうか。それとも、虫になるのでしょうか。 物語の主人公に長年憧れました。もちろんもっと若い時ですから、今は諦めがついています。それでもなぜ私はこんなにも私であるのか。 誰かに成ることができれば、その特別な人に成ることができれば。私は私なんかすぐ手放していたでしょう。しかし、私には私しかなかった。私をいくら変化させようとしてもまるで排水溝に流れてゆく雨水のように、いつも同じ結末を迎えました。 私は特別な凡人です。 私は1人しかいませんから特別です。この結論を知っているからこそ特別です。 私は他者が憎い。 私を理解してくれない他者が憎い。賞賛してくれない他者が憎い。心を割いてくれない他者が憎い。 その程度か。まだ足りない。節穴め。能無し共が。 こんな思想をしているから私は特別です。 もう、高尚とはいえない下劣な思考を持って他者を羨み同時に見下している。そんな私が嫌いだから私は特別です。 助けて欲しくても助かり方がわからない私は特別です。これからも堕ちて腐り果て、朽ちてゆくから特別です。 この歴史に名前も残さず埋もれてゆく皆さんは特別です。私と一緒の凡人です。 名を残した稀有な方は幸いです。 運が良かっただけのあなたは所詮凡人です。 私は何がしたかったのでしょう。 何かを言いたかったのでしょうか。 こんなこともわかりません。 なぜなら私が特別だからです。
特別な凡人 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 338.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-09-22
コメント日時 2025-09-23
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


ん?デカルト? 随分と間違った省察だと思いました。でも、気持ちは分かります。
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