まじないは既に

波となった表面反射がもうじき押し寄せてくる。もうじきだ。いつも定刻と決まっている。それを待ち呆けている間にも時間は過ぎるので、ほんの少しのことをお前と話すが...... 15 日に墓参りに行ったよな？それは傲慢だった。散歩がてら行ったので親戚をみんな置いてけぼりにしてしまった（ようだった。木々の中にあった。学校のほうから風が吹いて、おれはお前の虹彩までみつめ、おれは怯えてしまった！）だがお前はのん気に、扇風機の操作方法を知らずして、自分の言葉を聞かずして、語りかけてくるのだ草木は激しく揺れているのかあちらの林からスギ花粉が舞っているのか雨合羽が落ちているが、落とし主はどこにいるのかお前の内殻はぼろぼろだろう、その亀裂はおれが屋根とか軒下とかに投げておく。無宗教がお前に寄りかかっている。風を含んだお前の虹彩は滲んで大きくなる。密度は変わらずに。果てはパンの袋を閉じる、バッククロージャーだと、おれは思っている。蟻が寄りつかないのでそれが大変良い。永遠に蟻が寄りつかないところが永遠で、若いまま、万葉集の超訳が流行って、日傘が流行ってウイルスが流行って、全部が一気に廃れる、とか。そうすれば、正直で雄弁なお前を、許せたら。満月が少し過ぎたあたりで思い出したように月を見よう、そして終わろう。終わらずとも、過ぎ去るが、それはいやなんだ。「終わったら海へ行きたい」って、おれもおもうけど、もう11月だから、クラゲがいると思う。死にたくない。あ、200m先に来た、反射。反射がおれたちの何を知ってるっていうんだ。はぁ............あれは時速35kmぐらいかな。運転してるから分かるんだよ。運転は慣れだから。

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作品データ

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作成日時 2025-09-19
コメント日時 2025-09-19

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