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『大人への階段、ただし弁付き』
成熟した大人、客観的な判断ができる人は社会の鑑だ。暴力ではなく言葉で問題を解決することが美徳とされる、いや間違いではない。しかし、それは成長の証ではない。 白髪の老人は言うだろう「争いごとはもうこりごりだ」──だが、静脈血の濁りがまだ髪にあった頃彼はきっとチャンバラごっこをしていたことでしょう。 成熟、客観これらはいづれも成熟した証ではない。何もできない自分という媒体を捨てて無理やりにでも達観視しようとする人間のあがきだ。もしも白髪の老人が昔のように活力ある体に戻る事ができたとしたらば──。 オッカムが確立させ、近代の自然科学を支えてきたのは客観視である。これによりどんな物も主体を排除して要素を抽出することで法則がつかめた。よって人間は客観視をイエスの座に座らせた。主観的に、感情的に何かを訴えるものは愚かで、異端で、魔女だとした。徹底的に客観的に構築された火を使って炎上させる。しかしその燃えカスには客観視点を構築する際に捨てた主体が残ってるではないか──。 夢を追いかける少年は成熟した大人から猛烈に批判される。そんなの客観的に考えたら分かるだろ?そうして閉塞した社会、日本には何の変化も生まれない。客観的に考えたら挑戦はリスクを負うものだから。 棺桶の蓋が閉じられる瞬間──世間から遮断される瞬間、白髪の老人の目には、かつての少年の目には、煤まじりの涙が滴っていた。
『大人への階段、ただし弁付き』 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 409.4
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ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-04
コメント日時 2025-07-13
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


こんばんは、 >>成熟、客観これらはいづれも成熟した証ではない。何もできない自分という媒体を捨てて無理やりにでも達観視しようとする人間のあがきだ。 この部分、なるほどなあと 考えるきっかけになりました。
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