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腕枕にさよなら   

作成日時 2018-04-07
コメント日時 2018-04-24

成長するということはお金がかかることだから、体が大きくなればなるほど洋服を買い替えて、その度に親のお金が使われる。まだ働いていない私は、アルバイトをしたお金で友達とのランチをする。本当は安い「のり弁」の方がおいしいのに、小皿に盛られたパスタとかスイーツをありがたく食べる。 枕にすらお金をかける時代になったけど、あなたの腕枕がちょうどいい。でも、疲れちゃうでしょ、その腕を私の頭から外していいのよ、とあなたの寝顔を見ながら思う。 社会に出て、自分でお金を稼ぐようになったら一体何にお金を使おうか。知らない世界を知るため、今までみたいに本を買うんだろうな、って。結局、私はいつまでも変わらないままで、でも、頭にフィットする枕を買い求めるのが楽しいのかもしれない。 そんなことを思い描きながら、私は親のお金で買ったリクルートスーツを来て、見慣れない街を歩いている。決められた集合時間より早く到着してしまった時の暇潰しの方法を知らない。そんな時は、あなたの腕枕の感触を思い出すに限る。心地よかったあの時間を思い出せば、集合時間が来てからの苦痛が和らぐような気がして。気がするだけかもしれないけれど。 苦痛が過ぎ去って、家に帰ってもあなたの腕枕はここにない。今より少しだけ幼かった、あの場所に私の手で置いてきたから。今の私には、ここ数ヵ月で私の匂いに染まった枕がちょうどいい。そば殻が詰まって、親のお金で買われたこの枕。 (ねえ、教えてよ。腕枕って、どれだけ、人の重みを感じられるの?) そば殻の枕は夜な夜な、私の重さを軽くしてくれる。そして、まだ見たことのない景色を見させてくれる。自ら働いたお金で枕を買うという夢想を。あなたといた今より少しだけ幼かった時間に、さよなら。


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2019/09/17 23時55分13秒現在
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コメント数(3)
み う ら (2018-04-07):

投稿ありがとうございます。読みやすい文章だなあと一読して思いました。自分で稼いだお金で買うものって自分が必要なものが優先される。結果、エゴイスティックな買い物がされがちだと思うんですが、少し後ろめたさがあったりもする。そんなところが情景として表れてる本作かなあと思いました。

花緒 (2018-04-08):

可読性が高いし、楽しく拝読しました。ところどころ、音感がよくないかもってところがあって、それが少し残念ではありましたが、この作品形態は好きですね。散文詩というのとはちょっと違う、まだ名前のついていない形式の作品だと思いますし、ブログとかでのってるっぽい文でもあるわけですけれど、上手く書かれているので、読めますね。はい。

百均@B-REVIEW ON/ (2018-04-24):

腕まくらと膝枕ということを考えた時に、膝枕は男っぽい感じがするのはなんでだろう、腕は女みたいな感じがある。 これは勿論偏見ですし、アンケート取ったらどうなるのかわからんのですけれども。 そば殻の枕というのが、差し込まれているのが妙に気になります。そば殻の枕って今使ってる人どれくらいいるんだろう。 枕は洗わないので、天日干しはよくするかなぁとおもうのですが、ということは人が寝た数だけそば殻に人の匂いが染み込んでいくので、からの中身もうまっていくのかなぁ。 もちろんうまったからといってそのなかみを取り出すことはできないので、夢に見るしかないのですけれども。

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