陽射しは強く、
風は柔らかく、
ビルがさえぎる人の心さえ、
僕らはたゆまず知ろうとしていた。
やがて君も僕も、
砂となって消えていこうが、
在りし日々の想い出を、手綱として。
こらえきれず泣いてもいい。
泣ける方が幸せだから、
澄みきった骨のままで、
目指していこうか、あの場所へ。
そっと君のそばに置いた。
心と呼ばれる、
名もなきものを。
蓮の花は咲かずとも、
去ぬる人にての一義あれ。
菩提樹の枝しなり揺る、
空に舞ひうつろひて。
汚れし子の肌洗ひ、
泣きやまぬ赤児を抱きて。
それこそを良きとする、
天のすみに、
花が、花が、目をとざす
雲は白く、
蝉は鳴きやまず、
車道の熱が、僕らを焼き焦がし、
見えない力さえ断ち切ろうとしても。
いつかはすべての人が、
浄化され消えようとも、
子と娘に手を伸ばし、未来へ向かう。
汚れたままでもいい、
嘘ある過去も許してやろうか。
逃げきれない夜なんて、ありはしない。
暗がりに灯るあかり、
消えても見えるのは一本道。
だから僕は君に渡した。
心と呼んで人がいぶかしむ、
形のない、それでもたしかなものを。
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 998.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-12
コメント日時 2025-07-17
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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閲覧指数:998.6
2025/12/05 19時00分41秒現在
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「心」を知りたくて生きてきた僕が、愛を知ることで君に自らの心を託し、過去を許して未来へ向かう、優しい詩だと思いました。蓮の花は咲かずとも〜の節の表現がとても美しく感じたのですが、古典の引用でしょうか?
02連目が印象的ですね、やがて~消えて行こうが。 心と呼ばれる、 名もなきものを。 この二行へと収斂していく、心と言う怪物。三連目の花も印象的でした。最終連で繰り返される、再び繰り返される消失の懸念。詩は繊細なものだと思いました。
0ターボくんさん、コメントありがとうございます。この詩の光ある場所とは、まさにこの詩を書いている僕の周囲のことを指していて、この詩を書いていた時、不思議と光に包まれるような感覚があったんですよ。嘘ある過去も許してみようか、ともあるこの詩が光を呼び込んだのだと思います。ということで、光ある場所一番乗りおめでとうございます、ターボくんさん。 ちなみに古語の部分は引用でなく、独創です。とても気に入っています。日本語って本当に綺麗ですよね。
0エイクピアさん、コメントありがとうございます。心という怪物、なかなか物々しくもいい表現ですね。この詩において心は人間の最後の砦として描かれていますが、残忍で野蛮な行為に及ぶのもまた心かもしれないのです。そうすると心は怪物、あながち間違いではないかもしれません。古語の連は最初にこの詩には、古語を一部使おうと決めたところから始まっていたので、とても上手くできたし、綺麗ですよね。蓮の花は咲かずととも 去っていく人としての一義はあれ(訳)と書いたのですが、とても締まりがありながら美しいですね。日本語の良さをかなりの部分引き出せたと満足しています。
0どうも、この作品はステロさんの「ファン」に向けて書かれている、という感じがするのです。そして、わたしは別にステロさんのファンではないので(というかわたしは誰のファンでもないですけど)、ほとんど「没入」して読めない。最終連などは、なんらかのマニュフェストのような気もするが、主張がぼやけている。博愛主義のようなもの?でしょうか。なのだとしたら、もっと強い言葉で、博愛主義を強く押し出してほしいと思いました。
0おまるたろうさん、コメントありがとうございます。この詩はファンのためのものではないですよ。博愛主義をマニフェストにしているのでもない。この詩を書いた時は連なるように言葉が続いた、きわめてスムーズな詩、それだけです。多分僕自身が欲していたのでしょう。今回おまるさんの期待に添えなかったようですが、僕自身はこの詩を気に入っています。そうですね、詩集を作るとしたら多少のアレンジをほどこして収録する、それくらいは気に入ってますね。
0泣きやまぬ赤児を抱きて~子と娘に手を伸ばし未来へ向かう。 ~逃げ切れない夜なんて、ありはしない。 なんの出来事でしょう。具体的に書き込まれていないので、何のこっちゃ。わかりません。 まるで「子連れ狼」が「夜逃げする様」。 何かのドラマが始まる序章。 そんな風にしか読めませんでした。
0ふむ。ちょっと補足すると、「ファン向けに感じる」と書いたのは、それを批判したくて言っているのではなく、事実としてそうだろうと述べているのであって、言い方を換えると、作者が自己陶酔しているように見える、ということなんですよね。多少なりとも「自己陶酔している私」という態度がないと(自分が欲するように書いた、きわめてスムースな詩...と主張しているし)このコメントのような応酬もないわけで。繰り返すが、わたしはステロさんのそのような創作のスタンスを批判して言っているのではないのですけど、クールに眺めると、ステロさんは自意識をうねうね描いてる自意識系ですよね。読者は、ステロさん自身にどれだけ興味があるのか?が問われるんですよ(だからファン向けっぽいと言っている) 例えばですが、ステロさんが禁酒したとしたらですよ、ステロさんは「禁酒している俺」をモチーフに詩を書くのでしょう。それが客観的に良い作品なのだろうか?ということなのです。わたしはどうも辟易しちゃうタイプの人なのです。
1そうですね。 結局、職業詩人でない限り、 自己満足できるかできないか。 ここだと思うので、ご本人が満足していれば良いと思います。 私の印象としては、 こういう作品を初めて書いた割には、 良く書けてるな、と思います。 ただね、 stereotype2085さんの詩にしては、出来が悪い。 なるほど、古語の部分も素敵だし、淀まず流れていて、読みやすいんです。 だけど、はっきり言えば、ぼやぁとくすぶってる印象なんです。 過去のstereotype2085さんの作品と比べると、物足りない。 いつものstereotype2085さんの詩は、読後にお腹いっぱいになったような満足感があるんです。 こういう詩をこれからも書くのなら、少し練習した方が良いかもしれないな、と思いました。 ごめんなさいね。 これが初めての方だったりすると投票するのですが、stereotype2085作品としては投票はできません。 ありがとうございます。
0アラガイさん、コメントありがとうございます。何かの物語が始まる序章に見えたのならそれでいいんじゃないんでしょうか。なぜこうもあっさりした返信を書くかというと、レモンさんの指摘が、おそらくこの詩に否定的であろう人の感覚を上手く表しているからなんですよ。 子連れ狼が夜逃げする様。 この作品を揶揄するフレーズとしてはいいかもしれませんが、批評としては満足できるものではありません。ですので、先の序章に見えるのならそれでいいのでは、という返信につながったのです。もし詳しく僕の反応を知りたいのなら、レモンさんへの返信もご覧ください。レモンさんとおまるさんのレスレスは物凄くよくできていました。
0おまるたろうさん、補足ありがとうございます。僕がおまるさんにレッサーとして期待するのはこういう部分なんですよ。自分の違和感を詳細に書き記す。そういうところなんです。僕もコメ入れする時はなるべくそう心がけていますし。その点では一度目のコメは、僕としてはゆるい印象があったようです。肝心の作品ですがたしかにその通り、この詩は作品と書き手の切り離しがひょっとしたら上手くいっていなかったかもしれません。僕としてはイメージに委ねて、読み手に余白を読んでもらうよう期待したのですが、それがかえって自己陶酔的な描写と映ったのかもしれません。僕は重ね重ねこの作品のベクトルは気に入っているし、大好きなんですよ。しかし読み手を満足させるには、今一つだったようです。この詩で芽生えた種子を摘まないように、この方向性の作品でも読み手が満足いくような作品を志します。精進したいと思います。
0レモンさん、コメントありがとうございます。ぼやぁっとくすぶってる。これは指摘としてとてもわかりやすいです。この詩はおまるさんのレスレスでも返したように、想像力で余白を埋めてもらうよう期待した作品なんですよ。しかし僕の持ち味である詳細な筆致、書き込みが足りなかったかもしれません。ぼんやりとして具体性に欠ける、ある意味狙った描写なのですが、満足できない方が多かったようです。おまるさんへのレスレスでも書きましたがこの作品のベクトルは今までの僕にはなかったもので、とても気に入っているのです。しかし人が満足行くほどには至らなかった、では!とこの方向性でも読み手が得心できるような、作品を目指します。これまでの僕の作品への信頼、評価も書いていただきありがとうございました。
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