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秋の詩   

作成日時 2017-10-12
コメント日時 2017-12-04

ふと 空を見上げると 蒼かったのだと気づく 鼓動も、息も、体温も みなすべて、海鳥たちの舞う、上方へと回遊している ふりかえると二つの痕がずっと続いている 一歩づつおもいを埋め込むように 砂のひとつぶひとつぶに 希望を植えつけるように 海は、あたらしい季節のために つぶやきを開始した 海鳥の尾にしがみつく秋を黙ってみている そう、海はいつも遠く広い 僕の口から いくつかの濾過された言葉が生み出されてゆく 君の組織に伝染するように、と いくらか感じられる 潮のにおい 君の髪のにおいとともに 新しい息をむねに充満させる      * あらゆる場所にとどまり続けた水気のようなもの そのちいさなひとつぶひとつぶが 時間とともに蒸散されて 街はおだやかに乾いている アスファルトからのびあがる高層ビルは 真っ直ぐ天にむかい 万遍のない残照をうけとり 豊かにきらめいている つかみとりたい感情 忘れてはいけないもの 体の奥の一部を探していたい その、ふと空虚な どこか足りない感情が 歩道の街路樹の木の葉を舞い上げる 体のなかを流れる 水の音に耳をすます 数々の小枝や砂粒を通り抜けてきた水が やがて秋の風に吹かれて 飛び込んできた木の葉一枚 日めくりの上方へと流れてゆく * 何かに怯むでもなく 過ぎ去る時間の刻々を様々な車達が疾走していく それぞれが無数の生活の一面を晒しながら、一号線を走っている 土手に築かれた車道から傍らをながめれば すでに刈り取られた田が秋空にまばゆく どこかに旅立つようにたたずんでいる パワーウインドウを開ければ どこからともなく稲藁の香ばしいにおいが入りこみ 午後の日差しは一年を急かすようにまぶしい 住宅の庭から、対向車の車の煽り風によって流れ込んでくるのは なつかしい金木犀の香りだった 記憶の片隅にある、未熟な果実の酸味のように とめどなく押しよせる、抑えきれない切なさが あたり一面に記憶の片隅を押し広げていく あきらかに、夢は儚く遠いものだと僕たちは知りながら コーヒーカップに注ぎこまれた苦い味をすすりこみながら語った 夜は車の排気音とまじりあい、犬の理由のない遠吠えを耳に感じながら 僕たちはノアの方舟を論じた 秋もたけなわになるころ、小都市の縁側にたくさんの金木犀が実り それは僕たちの夢の導火線にひとつづつ点火するように香っていた 思えば、僕は、あれから あの香りから旅立ちを誓ったのかもしれない 僕はあれからずっと生きている たぶんこれからも


項目全期間(2020/01/22現在)投稿後10日間
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2020/01/22 18時35分57秒現在
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コメント数(4)
花緒 (2017-10-16):

うまいなと思う一方で、借り物の紋切り型の言葉がたくさん使われてしまっている感じもして、どこまで良い作品だと言って良いのか、わたしにはあんましよく分からないなという感覚を覚えました。初読の印象です。また、時間を置いてから、拝読させていただこうと思います。

yamabito (2017-10-17):

花緒様、おはようございます。 参考になる御意見、ためになります。 ありがとうございました。

まりも (2017-10-20):

青、ではなく、蒼。心理的にそう感じられた、ということなのか、観念世界の空、なのか。 〈ふりかえると二つの痕〉砂浜に刻まれた、自らの足跡、その足跡のイメージと、人生の足跡のイメージ。 〈海鳥の尾にしがみつく秋〉行き過ぎようとするものを捉えようとするなにか、を伝えたい、ということなのかと思いましたが、海鳥という個物かつ具体的な存在に、秋、という抽象的で大きな・・・その場を包み込む気配のようなものを採り合わせていくのは、若干無理があるように感じました。秋が擬人化されるに十分な前後があればよいのですが。 〈君の髪のにおいとともに 新しい息をむねに充満させる〉 今まで、ひとりの淋しい海岸のイメージで読んでいたのですが、〈君〉が、傍らにいた、ということでしょうか。終わって行こうとする季節の中で、君、という生命力に触れて(恋も含めて)生きる喜びが再び萌え出ようとしている、そんなイメージで受け止めましたが・・・君、の現れ方が、唐突な印象を受けます。 二連目は、スタイリッシュな都会の風景の中で、秋を感じた瞬間、でしょうか。三連目は、田園風景の残る田舎道をドライブしているイメージ。二連目、三連目とも情景描写としては良く伝わってくるのですが、どこに「秋」を感じたのか、「秋」を感じることが、語り手にとってどんな意味があるのか・・・意味というと、ちょっと大げさですが、二連目で感じ取った空虚感、三連目で感じ取った懐かしさや安心感(金木犀の匂いが媒介するような)その辺りにもっと食い下がっても良かったかもしれない、と思います。

yamabito (2017-12-04):

まりもさん、せっかくレスをくださったのに、お返しのコメントをしておりませんでした。 10月の作品なのに、せっかくまりもさんからいただいたレスですので上げさせていただきますね。 おっしゃるように、海鳥が飛んでいる様を、そのまま「秋」という季節をイメージさせるのは、作者のエゴなのかもしれません。と、いいますか、私はけっこうそんな書き方をいつもしてしまって、共感を得られない部分が多々ございます。 強いて言うならば、二つの足跡(だけが)残る砂浜というのは、シーズンオフの海岸というイメージでしたので…、そこで秋を書いたのかもしれません。 あまり詩の中の語句に深い意味を持たせようと、いろいろと貼り合わせるような作業を得意としないため、自分のニュアンスやイメージ先行で詩句を綴ってしまいがちな私ですが、おっしゃること、たいへん良く解ります。  私は常々、とある掲示板で、「盆栽詩人」と言われていた経緯があり、外面を飾る作品が多いようです。 もっと、内面を食い込んだものを提示できるといいのですが。 まだまだですね、御批評、ありがとうございました。

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