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うずくまるもの   

作成日時 2019-12-03
コメント日時 2019-12-11

1 アンモナイトからタピオカまで アンモナイトは尊敬される 深く うずくまっているからだ うずくまっている人は きっと何かを 自分一人のためではなく、 みんなのために考えているんだろうって 見えるから おなかが痛くて うずくまる娘 世界が怖くて 丸まるダンゴ虫 月 昼寝する猫 木々のつぼみ 少年の包茎 クロスワードパズル 迷宮 赤血球 コーヒーカップの中に うずくまる黒いコーヒー 牛乳の底に うずくまるタピオカ うずくまる者たちが (賢者のように) 世界という全体に抗い 時間をきしませる 2 その夜を、雨が慰めている 深夜、 (うずくまる者たちのなかに、明日の朝、芽吹くものがないか) (うずくまる誰かが、生きることへと誘惑されないものか) と、 布団の上でうずくまる私の、うずくまる願いのように 地球に雨が降る 彼方では 夜の畑の地下十四ミリメートルに、 灼熱の昼、私の蒔いた、いんげんの種がうずくまっている そこへと到達する雨が 彼を揺り起こす そのことが ふいに私のあたまに閃き もしも アンモナイトがうずくまることをやめたら (そういう、のびてしまったアンモナイトは実在するが) それでも私は彼を尊敬するのだろうか と、私は考え始める へびだって いつまでもとぐろを巻いているわけでは ないじゃないか どの花も花弁は花を去り 一枚の花弁として地上までの短い旅に出るではないか 背をそらして、猫は屋根を歩くのだから と、 布団の上に転がって 私は私の背を伸ばした (初出:焔.117号.2019.11.25発行)


項目全期間(2019/12/12現在)
叙情性7
前衛性3
可読性1
エンタメ5
技巧8
音韻0
構成2
総合ポイント26
 平均値  中央値 
叙情性11
前衛性0.40
可読性0.10
 エンタメ0.70
技巧1.11
音韻00
構成0.30
総合3.73
閲覧指数:841.0
2019/12/12 08時46分46秒現在
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コメント数(8)
みうら? (2019-12-04):

深遠なところに降りていく。そのように読み入ってしまうことを味わい読むというのかもしれません。本作を幾度か読み返しました。 深遠なところに降りていくとは、具体的にみえる像を示せば、その詩を詠んでいる人の佇まいです。 一つの言葉それ自体の表記に意味は宿らない。平易であれ難易であれ使う言葉の選びは、音韻の作りを含みながら、作者固有の文脈が詩を創出します。本作にある文脈とその音韻は、丁寧な響きとその佇まいです。それは「外界のうずくまるもの」によって「私」の内面を表されている。 >布団の上でうずくまる私の、うずくまる願いのように >地球に雨が降る 「外界を書くこと」による「内なる世界」の比喩としての表現。なかでも、「布団の上で」との前置きが現実空間と眠りにみる夢の空間の中継地としての味わいを醸し出しており、そこに丁寧さをみるのです。 丁寧さを感じる私には、この詩を詠む人の佇まいが像として浮かびます。それは、うずくまる姿ではなくて、本作にある背を伸ばした人がみえます。それが丁寧さと私が言うところの効果です。 読んでよかったです。

沙一 (2019-12-05):

脳をマッサージされるような詩だと感じました。それというのも、アンモナイトからうずくまるもの、娘、ダンゴ虫、月、猫、などなど、めまぐるしく変転するイメージに意識を向けさせられてゆき、2では、あいまに灼熱の昼をはさんで深夜の雨という、相反する大自然のスケールまで意識は拡大され、そのあとふたたびアンモナイトに戻ってくるわけですが、そのころには脳はすっかり痺れてしまい、のびてしまったアンモナイトについての話をぼんやりした意識でしか聞いていられないような心地のところに、こんどは弛緩のイメージがおとずれる。いままで、ぎゅっぎゅっとうずくまるものに向けられて緊張しきっていた意識が、ゆっくりと弛緩していく開放感。凝りがほぐされていくかのようでした。

蛾兆ボルカ (2019-12-08):

みうらさん コメントありがとうございます。 丁寧に書くということを考察/評価して下さり嬉しいです。 おそらく、筆者は目に映ることを丁寧に見ることを通じて、詩作をしようとしてます。

蛾兆ボルカ (2019-12-08):

沙一さん コメントありがとうございます。 出発の緊張からリラックスまでへの旅を共にして下さり、嬉しいです。

曇鸞曇鸞 (2019-12-08):

 通底する表現内容について。一見すると、「うずくまっている者たち」は「自分一人のため」に「世界という全体」が「怖くて」怯えて、小さくおとなしくしている。けれども、著者の目によると、「うずくまっている者たちが」「みんなのために考え」「世界という全体に抗」う。それから、「うずくまる」ことをやめて「背を伸ば」す。こんな希望に充ち溢れた詩に出会えたことを誇りに思う。  表現方法・内容について。題名が「うずくまるもの」であり、落ち込んで悲しくなっているような人を、惹きつけるものがある。篇1が「アンモナイトからタピオカまで」であり、「アンモナイト」と「タピオカ」の奇妙な組み合わせが、くすっとした笑いを起こさせる。「アンモナイト」は地下深くに「うずくま」り、「タピオカ」はティーの深くに「うずくまる」。しかし、「アンモナイト」が砂の中に硬いものとしてある一方、「タピオカ」はティーの中にやわらかいものとしてある。時間的にいうと、「アンモナイト」は太古で、「タピオカ」は最新である。  1で取り上げられた「うずくまるもの」を順に略記すると、アンモナイト、娘、ダンゴ虫、月、猫、つぼみ、少年の包茎、クロスワードパズル、迷宮、赤血球、コーヒー、タピオカである。これらによって話の筋を描きながら、短文や言葉をとつとつと緊張感ある形で語りだす。  アンモナイトへの憧れから始まる。肯定的な響きがある。  「お腹が痛」い娘、「世界が怖」いダンゴ虫が続く。否定的な響きが忍び込む。そこで、ぱっと現れる月が照らす。「昼寝する」猫、これかれ咲くはずのつぼみは、穏やかさと希望的な響きを与える。  少年の包茎は、難しい。これから包茎でなくなるかもしれないし、包茎のままかもしれないから。クロスワードパズル、迷宮は、これらそのものが「うずくまるもの」ではない。厳密には「うずくま」らせるものだろう。ここにははっとさせられた。「うずくまるもの」だけでなく「うずくま」らせるものを入れ込むことで、読む人により「うずくまるもの」の気分を味合わせてくれる。少年の包茎と同様に、「うずくまるもの」の葛藤的な状態がこれらの言葉で構成されている。クロスワードパズルには、きちんとした終わりがあると分かるが、迷宮にはきちんとした終わりがないかもしれないのである。  赤血球は「うずくまるもの」たちの中で、「うずくまるもの」でありながらものすごい速度で動き、身体全体に酸素を送り届ける。個人的な感想を述べさせて頂くと、「赤血球ばりやばい、うずくまるものフィーバーちゃうか。」「うずくまるもの」たちが「世界という全体」のために活躍するのだ。  ここで月の深い意味がやってくる。赤血球と月は同等だ。赤血球がミクロで数多く「フィーバー」しているとすれば、月はマクロでただ一つ「フィーバー」している。個人的な感想をここでも述べさせて頂くと、「赤血球と月が同等!赤血球と月が同等!大事なことなので二回言いました!」  コーヒーと「牛乳の底」のタピオカは赤血球でたどり着いた緊張の最高点から脱力させてくれる。コーヒーも牛乳も人をリラックスさせる効果がある。タピオカはまるで愛おしい赤子のように「うずくまるもの」を表してくれる。なぜ赤子かというと、牛乳が母乳に思われてその中に静かに、養われているように思えるからだ。母胎回帰が埋め込まれているのか。  篇2が「その夜を、雨が慰めている」である。「雨」によって「うずくまるもの」が「背を伸ばし」始める。「雨」=水は生命には欠かせないものである。「雨」は「慰め」るだけではなく恵みもする。悟りを開いたものがここにある。悟りという堅苦しい言葉は似つかわしくない、もっと柔らかで優しさのある詩だけれど。  2で取り上げられた「背を伸ば」す「うずくまるもの」を順に略記すると、私、いんげんの種、アンモナイト、へび、花弁、猫、私である。1のとつとつとした緊張感ある文体をやめて、安らかに流れるような口語に近い言葉で語る。  最初の私は、布団の上で「うずくま」ったままで、「うずくまる願い」を抱いている。「蒔いた」いんげんの種は「雨」が到達すると、いんげんの種は「揺り起こ」される。そのことを「閃」く=悟って私は「背を伸ばし」始める。ここにも母胎回帰が埋め込まれているのか。  ここから次々と、アンモナイト、へび、花弁、猫が「うずくま」っていた状態から「背を伸ばし」始める。注目したいのは、アンモナイトが古代の哲学者であると感じられ始めることだ。「のびてしまった」アンモナイトは、哲学を実践する満足をもつだろう。だが、「のびてし」まうことは危険ではないか。「そうだよ、危険なんだよ。」と、作者は優しく語りかける。へびはとぐろをまいている方が安全だ。花弁は空中に飛び出さない方が安全だ。猫は屋根を歩かずに、昼寝をしている方が安全だ。  それでも、最後の私は「背を伸ばした」。けれども、それは布団の上だった。朝起きて「背を伸ば」すこと、そんな小さなことも素晴らしいことだと、気づかされる。  1は釘を打ち込まれるような感じがしていた。2になると、布団の上で寝転がって安らかでいた。「うずくまるもの」が死んで再生するのだ。  長々と書いてすいませんでした。とても感動致しました。この詩は今まで出会った詩の中で、最も素晴らしい詩の一つです。今後の作品も楽しみにしています。

蛾兆ボルカ (2019-12-09):

曇鸞さん コメントありがとうございます。 深く味わって下さり、詩作の励みになります。

たもつたもつ (2019-12-09):

こんにちは。 言葉の選択、繋ぎ、いちいちオシャレで かっこいい。 うずくまる、という一つの言葉から、深 く深く、それこそアンモナイトの殻のよ うに、螺旋状に落ちていく。 詩を書くのに大事なのは、作者が何を見 て、生きて、詩を書いているのか、とい う目であり視線であると勝手に思って いますが、しっかりとそれが伝わってき ました。 最後は救いなのでしょうか、諦めなので しょうか。 叙情とエンタメにポイントをつけさせて いただきました。

蛾兆ボルカ (2019-12-11):

たもつさん こんにちは(*´∀`*) お久しぶりであります。 たもつさんの作品を拝読できて、またこうして拙作へのコメントも頂けて、嬉しいです。 私も管理者ではなく参加者なのですが、たもつさんのご参加はとても嬉しいです。 このサイトもちょうど盛り上がるタイミングのようにお見受けしてます。 「強敵」と書いて「とも」と読む、少年漫画の心持ちで、詩を拝読できる愉しみはもちろんですが、月間賞におけるたもつさんのご健闘ご活躍もワクワクと期待しております。 どうぞごゆっくり楽しんでください。 頂いたコメントは、私も大事にしているところです。生きて、何事かを見て、書く。私にはたいしたものは書けませんが、行けるところまであるき続けようと思っております。 コメントありがとうございました。

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