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私達が隠者になる日
戦争なんて…と続く言葉を 蝿の雲がかっさらっていった 目の前の、畳の上のうめき声も羽にのまれてく かたわらに雲をながめる少女 包帯の交換とうじを箸でつまんで皿の上に集める日課をくりかえす小人の戦争 海のそばにあるちいさな家のなかで 黒い雲がだんだんと勢いをましてゆく かまどで煮える包帯がもくもくとけむる ちいさな家をとじこめているようでした。 四六時中、腹をおさえて なんて惨めなのだろうと柱にもたれる ざらつく新聞と油ぎったネットニュースが毎日流れるだろう。 少女の口のなかに隠れている私達。 蝿の雲に煙を巻かれてるかのように いずれおちゆくさだめならば なんのためにうたってきたのだろうか 上等な皮肉をつくりあげるためにうたってきたのだろうか 口のひらけぬ少女のもどかしさ、口惜しさ いかばかりかならむ。
作成日時 2017-05-31
コメント日時 2017-06-10
私達が隠者になる日 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 831.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
項目 | 全期間(2023/03/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
おはようございます。 絶句でございました。 世界情勢は雲行きが 日々あやしいというニュースが流れていますね。 わたしは広島で育ったので、蛆との格闘 蔓延する蠅が生活を覆っていた話を多く聞いて育ちました。わたしが 書けずにいる 漠然とした不安が、この詩には描かれており 驚いています。 今の うちに 言うべきことは、ないのか!と、いう気概を得ました。 重箱の隅をつつくようなことを ひとことだけ言います。 ≫包帯の交換とうじを箸でつまんで皿の上に集める ここが「交換とうじ」に読めてしまうので、すこし わかりにくいと思います。 包帯の交換で 蛆を箸でつまんで 皿の上に集める。ですよね。 私は広島で育ったので 蛆が わいていた話をよく聞きました。 あまりに繰り返し聞いてきた話です。ですが それを私が書こうとしたことは ありませんでした。 書くべきことだと思います。聴こうとすめことだとも 思います。 口のひらけぬ少女と 比喩されている人々の思いとはいかばかりかということを書いておられる、 この詩のこの言葉の率直さに、詩人が ここにいると感嘆しました。
0えらそうですみません。 言ったはしから誤字を しました。 × 聴こうとすめことだとも 〇聴こうとすることだとも です。(陳謝いたします。)
0「戦争なんて…と続く言葉を 蝿の雲がかっさらっていった」 変形86体のような、独特の韻律の持つ陽性の軽さと、戦争、蠅、という言葉の重さ。 蠅、と打ちかけて「南風」という文字も出てきたのですが・・・なぜ、蠅?と思ったところで、 「はだしのゲン」に出てくる重傷者の姿が浮かび・・・蚊柱のように、真黒に蠅が雲のように立ち昇る末世を想像しました。 核戦争後の世界、各々の家から、大量の蠅が空に舞い上がっていくような・・・。 「なんのためにうたってきたのだろうか 上等な皮肉をつくりあげるためにうたってきたのだろうか」 歌い手を口に含んだまま、口を開けない、開こうとしない少女・・・ 「詩」が肉体を得たら、少女の姿をとるかもしれません。 しかし、今、詩が大量の蛆に蝕まれているとしたら・・・ そんなことを考えさせられる詩でした。
0やぁ、るるりら様。コメントありがとう。 反戦というより、 もし戦争が始まるなら歌っておこうと思って書きました。あとから、文句をいうのは嫌だし、掲示板で隠者となって文句をぐっちかぐっちと垂れ流すのはやだなー。と思ったのです。どのみち、戦争が始めれば、我々はいずれ、掲示板で書き込む自由くらいしかのこされていないのかもしれません。ふふふ。 それが、隠者になる日です。
0まりも様へ つい、この間、まりも様の真似してコメントたくさんつけてみました。もちろん、自分が気になった作品にしかつけれなかったようです。 まりも様の視野の広さに憧れますね。もし、私がそんな風に色んな人に感想書けたら素敵だなと思いましたよ。 うん。素敵だよ。 さて、詩に群がる蛆とは、ふふふ。ずいぶん、詩とは難儀ですねぇ。 しかし、蛆は腐ったところにしか発生しません。宿主が生きていようと死んでいようと。 詩は音楽に栄養を吸いとられて餓死寸前だと話を聞いたことがあります。あれから、半世紀たったいま。 詩は肉も食われきって、まわりに蠅が飛んでいるでしょう。 さて、そこで残ったのは骨でしょうね。 どんなに有名な詩人の詩でも無名の詩でも 私にはよめば詩の骨はもっている現実があるとおもいます。その詩に血肉はかよわなくともです。 B-reviewに投稿したきっかけのひとつで 詩が絶滅するのなら、 せめて「狂」でもいいから進取の波にいたいと願ったような気がいたします。 もしくは、私は狂の人々の腸の中のうんこでぎょう虫のようにぬくぬくしていたいだけかもしれません。 ただ、そう。 振り返っているほど、 後悔やら悩んでいる猶予もないほどの速さで 詩が絶滅するのなら どこでもいいなと思いつつ うん、ここで、私は遊んでいこうとおもいます。 感想ありがとうございました。
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