お知らせ

漂流   

作成日時 2019-02-01
コメント日時 2019-02-17

何度、殺されただろう 海の上にちいさな小舟を漂わせ 私はハハと乗っているが ふたりも乗せられるほどの広さも強度も 小舟にはない ハハは金切り声を上げながら私を打ち据え 小舟から海に落とす そのたびに私はハハから生まれる 新しく、そして何も変わってない私は その都度ハハに殺される 陸は見えているが、ハハも私も泳げないのだ 生まれる度に大きく小舟を軋ませる私は ハハにとっては私こそ 自分を殺す者に見えていたのだろう あなたから生まれ あなたに殺される もうたくさんだ 私を生んだ女から繰り返し沈められるのは 私はハハが両手を伸ばしてくる前に 海に飛び込んだ 殺されるくらいなら自分から死ぬ方がいい 泣きながら手足をバタつかせ そうして、驚いた事に足が海底に触れた 首まで海水があるものの、立てるじゃないか 私は呆然と小舟を見た ハハは哄笑してる 気がついていないのだ ここが深海の上ではなく 遠浅の海だという事に 私は泣きじゃくりながら陸を目指した もうハハから殺されない場所へ ハハは今も海の上で怯えている


項目全期間(2019/07/16現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント00
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合00
閲覧指数:66.1
2019/07/16 05時25分51秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。


コメント数(10)
羽田恭 (2019-02-01):

親離れ、子離れをある意味詩的に表現したのかと思います。 何度もハハが私を殺したのは、巣立つのを促すためだったのか。 野生動物が親離れさせるため、何度も子に攻撃するように。あくまである意味死んでないわけですし。 だとすると、遠浅の海なのを知っていたのかも。怯えていたのは事実だとしても。 春も近くなっているので、人間社会的にも巣立つ季節が近くなっています。 そのような意味があるのかな、と感想を持ちました。

エイクピア (2019-02-02):

母から生まれ母から殺される、小舟で。 「殺されるくらいなら自分から死ぬ方がいい」 こんなフレーズもありました。母を置き去りにしたのでしょうか。怯える母。一貫して「ハハ」と言う表記に拘る意味など、この詩からはいろいろと啓発されることがありました。

桐ヶ谷忍 (2019-02-03):

羽田恭様 こんにちは、羽田さん。 なるほどー獅子は千尋の谷から子を落とすようなものとして解釈いただいたんですね。 親離れ・子離れ、巣立ち・・・そういう目で見て見ると、確かにそのようにも読めるなあ。 おもしろい解釈をありがとうございます。ぺこり。

環希 帆乃未 (2019-02-03):

痛々しい詩ですが、現実的で良いですね。

ふじりゅう (2019-02-04):

 拝見しました。ハハがカタカナであることが良い点だと感じました。  「ここが深海の上ではなく/遠浅の海だという事に」などから、人生を勝手に難しく考え、どうせ自分なんて、と自暴自棄にはしる人々へのアンチテーゼのようにも感じました。

桐ヶ谷忍 (2019-02-05):

エイクピア様 こんにちは、エイクピアさん。 私にとってわざとカタカナ表記にする意味って、皮肉とか侮蔑とか嘲笑とか、そういう負の感情を込めたものに使いますし、ひと様が使ってる場合もそういう意味でとらえがちです。 最近テレビを騒がせている虐待死した女子児童の親も母を放棄したハハになっちゃった(されちゃった?)んだろうなあとか…。 啓発なんて、なんか恐悦至極な。 どうもありがとうございました。ぺこり。

桐ヶ谷忍 (2019-02-06):

環希 帆乃未様 こんにちは、環希さん。 自分が助かりたいために、娘を見殺しにしました、という趣旨のハハのニュースが今朝もやってました。 私はこのハハを責める気持ちは沸いてきませんが、他人だからでしょうね。 実の娘だったら恨むよなあ、なんて…。 どうもありがとうございました。ぺこり。

桐ヶ谷忍 (2019-02-10):

ふじりゅう様 こんにちは、ふじりゅうさん。 ハハのカタカナ表記は自分でも気に入っているので、そう仰ってもらえてとても嬉しいです。 遠浅の海は人生のアンチテーゼ。 深く考えてくださってありがたいです。 試してもいない内から勝手に思い込みでむつかしくしてしまうことってありますよね。 というか私がそういう人間なだけですけど笑 どうもありがとうございました。ぺこり。

まりも (2019-02-15):

なかなか切実な内容ですが、決然と未来に向かって、自活していく、自立していく志向が見えて、希望を感じさせる作品だと思いました。 ハハ、と笑い声のような表記であることが、この作品では効果をあげていると思いますが、若干、人称名詞が多いのではないか、という余剰感も覚えました。 怯えているハハ・・・一人で彷徨う孤独、不安を解消するために、娘(自身の分身)を虐待する存在、という客観視が生まれているからこそ、「ハハ」から自立していくことができたのではないか、という読み方と、実際の生母ではなく、自分自身が作り出した幻想の母(こうあるべき自己)からの離脱、という読み方も可能ではないかと思います。

桐ヶ谷忍 (2019-02-17):

まりも様 こんにちは、まりもさん。 人称名詞が多い、とのことで改めて読み直してみたら、仰るとおりいささか過剰に書いておりました。 ハハって、そういえば笑い声ですよね。 カタカナ表記の負の方ばかり見ていたから、そんな基本的なことに気がつきませんでした。 そんな基本も忘れてしまうくらいですから、幾通りにも読めるような詩を書こう、といった複雑な詩を作ったことはこれまで一度もなかったのですが、それでもまりもさんも含め、これまで様々な読み方を教えて下さる方々がいらして、そのたびに喜んでいました。 どうもありがとうございました。ぺこり。

投稿作品数: 1