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ホテル春光   

沙一 
作成日時 2018-11-08
コメント日時 2018-11-08

 

ひとりよがりの廊下の奥 花瓶に活けてある鬱金香 小さな窓から差す陽光が 病的にあかるい 404号室のベッドで 獏が惰眠を貪っている 土手っ腹を露わにして 揮発したウイスキーの匂い 安息を奪われた男は 徘徊せざるを得ない 暗がりで観る絵画に シュルレアリスティックな錯覚を期待して 花盛りの季節は なにもかも明瞭過ぎている ひとには湿った洞穴があることを 医者以外に誰が想起するだろう 夢をみせるのはシナプスの発火 それとも記憶の多重露光 象牙色の壁紙を這う蟻が 迷走神経を象る 明晰夢は鎖されて 麻酔がみつからない 血のいろをした絨毯が 非常口まで続いている


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社町 迅社町 迅 (2018-11-08):

ホテルという異空間に何があるのか、そこに存在する物には何がなされているのか、そこにいる自分に何が起きているのか、という描写の精密さを感じます。ホテルの飾りさながらに、細工の行き届いた描写だと思いました。

沙一 (2018-11-08):

社町 迅 さま 当ホテルにお越しいただき、まことにありがとうございます。 館内の雰囲気に異空間を感じていただけたなら幸いです。 また、細部にわたる装飾を気に入っていただけたご様子で、大変嬉しく思っています。 またのお越しを心よりお待ちしております。

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