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ジニア   

作成日時 2018-05-03
コメント日時 2018-06-04

初夏のような空気が立ちのぼる街並みを歩いていた 振り返ると古い大きな病院がある 病院の入り口付近には大きな桜並木があり 自転車置き場には夥しい花弁が散りばめられていた 小枝の先からはなれていった いくつかの一片 桜は 木であることも知らず立っている 医師の話を他人事のように聞いていた 治療するのだという 「治療」という言葉がずっと頭にこびりつき 廊下はひかり ベンチシートの老人達は喫茶店の客のように寛いでいた 初夏ような風は心地よかった 風が顔にあたり 額に髪をなびかせる 真っ直ぐに遠くを見つめながら髪を耳にそっとかける ふと足をとめ ジニアの種を買う ダリアのような鮮烈な色合いが 戸惑う血液を溶かし 未来をひらかせる気がした ジニアの花が見たい そう思った 小さな花壇にしゃがみこむ しっとりとした土のにおいが なにかを育もうとする力を感じる きっときっと 花を咲かせてみせる あの鮮烈なジニアの花を見たいから 土のにおいを嗅ぎながら額の汗をぬぐった


項目全期間(2019/11/19現在)投稿後10日間
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2019/11/19 18時33分53秒現在
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コメント数(9)
かるべまさひろ (2018-05-13):

もっともっとジニアの鮮烈さを感じたくなりました。 タイトルでジニアと言い切っていたもので、ついついもっととなってしまいました。

yamabito (2018-05-14):

かるべまさひろさん、言われてみればそんな気も致します。 参考になる御批評、ありがとうございました。

蛾兆ボルカ (2018-05-14):

医師は、余命を告げた後でも、医療行為のことを治療と言います。 私事ですが、「治せないのに治療というのか」、と、違和感を持ったことがありました。  種を蒔くという行為には、治療ということとは異なる生命の根源的な活動に繋がるものがあると思います。 この作品では、治療ということが深められるわけではないのですが、種を蒔くということと並べて眺められる。 何かしらはっとするような思いがありました。

るるりら (2018-05-14):

おはようございます。 桜の時期を過ぎた今頃の季節は、この詩を読むのに ふさわしいですね。 桜は あまやかだけど刹那を感じさせる花であるのに対して、ジニアは ビビットな色と しっかりとした草姿をしていて、なかなか生命力を感じさせる花だと思います。ダリアのような花と書いてあるのですが じゃあなぜ ダリアではないのかなと ちょっと思いました。 ダリアとちがって 地面をがっつりと掴んでいるような草姿が決めてなのかもしれないなと。  ダリアみたいな球根植物ではなく、【種】が大切だったのかも。  微細な種から こつこつと いちから始めたい育てたいという話手の気持ちの現れかな? 木であることも知らず立っている桜とは なんだかしらないが大きな建物の病院では自分が何者であるかがわからなくなるアンニュイな心境からの脱却や、ご自身を取り戻したいという希求が この詩には現れていると 感じました。 余談となりますが ジニアって この詩によると、どうやら 今頃が植え時のようですので、植えたくなったので調べてみました。英語名:Youth-and-old-age 直訳すると青年時代と老年でしょうが、 Youth-and-old-age「海と老人」と意訳した紹介がついてました。 おまけに、オッケーグーグルで 私の発音で「ジニア」をスマホに尋ねると、なんどもなんども「ジュニア」と 受け取るのでした。シニアと聞き取られても良いようなものなのに これってYouth-and-old-ageの魔法かと思いました。 ジニアって 年齢不詳をイメージさせる花だと思いました。 土のにおいを感じられる行動がしてみたくもなりました。ありがとうございます。

yamabito (2018-05-14):

蛾兆ボルカ さん、こんばんは。 そうですね。私もずっとそう思ってました、治療の件です。 いとも無造作に治療と言い放つ医師たち。辟易しますが、彼らは単に仕事と割り切っているのでしょうか。 病は気から・・と申しますが、自然治癒力も信じたいところです。

yamabito (2018-05-14):

るるりらさん、こんばんは。 ジニアという花は、実は見たことが無いのです。 加えて、この詩作品のストーリーも全くの想像です。まったく、何処からこういう詩が生まれたかと追想してみますと、メビのとあるコーナーの返詩とかやっていた頃の作品なんですね。 だいたい、私は自分の事しか書かない書き手なんですが、こういった返詩から空想の世界観を探り出すというのも一つの手ですね。 お読みくださり、ありがとうございました。

社町 迅 (2018-05-14):

最終連の自然の力を感じさせる文章が好きです。

yamabito (2018-05-15):

社町 迅さん、おはようございます。 そうですね。仰るところが落としどころと言いますか、そんな感じです。 お読みくださり、ありがとうございました。

まりも (2018-06-04):

「桜は 木であることも知らず立っている」 「廊下はひかり」 この2フレーズが、不思議と印象に残りました。 病を告知された時の、衝撃というのか、心の空白感のようなものが、もっと強く出てもよかったのかな、とも思います。 初夏、の繰り返しが、ABA’Cのような心地よい安定感を産んでいますが、冒頭の初夏は、むしろジリジリと照り付けるような、違和感や疎外感を与える空気(陽炎のように、すべてを曖昧にしてしまう感じ)であり、後半の「初夏」が、心地よさに反転するきっかけになっていたら・・・絶望が未来への希望へと反転するような、よし、ジニアの種を育ててやる、ぜったいに、花をみてやる、という生きるエネルギーへと繋がっていくような気がするのですが、いかがでしょう。 今のままだと、現状の認識、受容→回想:過去の病の告知の衝撃→現状:新たな生きるきっかけを得る→現状:実際の行動、という流れに収まってしまうような気がしました。

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