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時限薬
二年ほど前いや三年ほど前になるかもしれない。 あるカウンセラーはこう告げた 「その考え方から解放されていくには、この先何十年も時間がかかるかもしれませんね それでも治療を一緒に続けていきましょう」 裏腹にすごく 私は急いていた。 冗談じゃない。 速くよくならなければならない こんな自分で居てはいけないし 外も歩けない、夜も眠れない。 そんな気の狂いそうになるようなことを言わないで下さいと シャッと 心の扉をしめてしまった。 完璧主義の傾向にある人は、 もしかしたら毎秒 自分の存在を掻きむしりたくなるほどの 抗ヒスタミン薬、不在のような かゆみの地獄の中にいる 自分に対する持続的で根深いアレルギー あるいは 誰にも取り外してもらえない、 真っ暗な液晶フィルムの中へとじこめられ 気泡の裏側にしがみついているような よるべなさを感じ 次の瞬間には、親指で潰されてしまうかもしれないわずかな呼吸 助けも呼べない その中で苦しみ、生きているのかもしれない。 通院を投げた日から いくらか月日が経った。 あのカウンセラー あなたに教えて貰った歌と、その言葉と それだけが 奇妙なくらい鮮明に 腑に落ちていく はてこれは、時限薬ではないのか、と 紹介されたパンク・ロックを聴きながら、 「あっ、そうか。人が 考え方の脂肪を燃やしていくには これからも、ずっと時間がたくさんかかるのね。」 と他者に対してもすこしばかり開き直れるようになりました あの素敵なアーティストを教えてくれてありがとう 私はいまも人間不信だけど 生きているよ（ね）
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時限薬 ポイントセクション
作品データ
コメント数 ： 10
Ｐ Ｖ 数 ： 1346.3
お気に入り数： 1
投票数 ： 1
ポイント数 ： 0
作成日時 2025-11-03
コメント日時 2025-11-05
Ｐ Ｖ 数 ： 1346.3
お気に入り数： 1
投票数 ： 1
ポイント数 ： 0
作成日時 2025-11-03
コメント日時 2025-11-05
#現代詩
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
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時限薬 コメントセクション
コメント数（10）
私にとっての時限薬は、 ｢もし自信をなくして挫けそうになったら いいことだけいいことだけ思い出せ｣ ｢幸せの大きさは自分のサイズがちょうどいい｣ でした。時限薬っていい響き。時間が経たないと刺さらない曲、言葉ってありますよねぇ。
0精神の領域は難しいですね。詩をもってしても打開が覚束ない。 「真っ暗な液晶フィルムの中へとじこめられ 気泡の裏側にしがみついているような」 こんな二行に感心しました。比喩にしては直喩のような気が、散文、平叙文のように迫って来たからです。
0こんばんは。 そうなのです、この時限薬というものはどうしてだか、時間が経たないと効かない 溶けてくれない カプセル型の希望のようなのです。 そんな言葉や曲のカプセルに出会えた人々は、たぶんやや幸運です。 Merci.
1こんばんは、 精神世界は本当にむずかしいです。描きたいテーマも多いのですがなかなか上手く行きません。ただし覚束ないのは僕の描き方が明瞭ではないからだと思います。 まだまだ修行中ですね。 引っ掛かる部分があってくれて、 良かったです、 Merci.
0今回はイヤにリアルですね。 「時限薬」という発想が面白いと思いました。 そういえば、「ソニーの製品は保証期間が過ぎると自動的に壊れる時限装置が内蔵されている」 という都市伝説がありましたね。
0“親指で潰されてしまうかもしれないわずかな呼吸 助けも呼べない” 痛烈に共感しました。 人は皆痛みを抱えながら生きているのだと顧みながら、何度も読ませていただきました。 大好きな作品になりました、ありがとうございます。
0仏映画「ショック療法」のように、 一度ヌーディストビーチにでも行って素っ裸で泳いでみたい。 大衆の目の前で恥部をさらけ出す。 いつしか恥ずかしさも消えて、 後は大笑いだ。 これで悩みも薄らぎ開放感に満ちあふれ 人生観は変わるだろうか。と思う。 だが、待てよ。 恥部をさらけ出して一時の開放感に浸るのはいいが、 それが永遠に続くだろうか。 売春婦が不特定多数の男たちに恥部をさらけ出すのには理由がある。 慣れてしまえばどうってこともないらしいが、 慣れてしまった売春婦たちの末路は大凡が悲惨だ。 過去は取り戻せない。 変わろうと思えば思うほど 過去もまた変わろうと邪魔をする。 パフォーマンスする見せかけの狂気に騙されてはいけない。 彼らにも理由があって恥部をさらけ出しているのだ。 パンクロック。 肌をむき出し髪を逆立て刺青で威嚇する。 別名パンツロックだ。 Tレックスが狂いながら歌う「Get．it．On．」 パンクロックの祖先のような曲だが、 ストラビンスキー「春の祭典」冒頭から第一部を聴いてみよ。 狂気に乱舞するリズムと踊り。 悪霊と精霊。 あれもパンクロックにちがいないのだ。 詩人ならば心の精神の闇にパンクせよ。 語り継がれる芸術の深淵には底が見えない。
0おはようございます。 リアルに見えますか、色々な見方をして貰えるとうれしいですね。 ソニーの件は全く知らなかったので、驚きです。 人間だったらちょっと怖いですが、機械の場合は、安全面的に必要な気はします。 どうもリチウム電池が危険だというので、そういうのは爆発寸前で エアバッグみたいに衝撃吸収して欲しいなと思ったりします。モバイルバッテリーは使うので安全装置に不備があるのは恐ろしいです (゜o゜; Merci.
0こんばんは、そのように感じて頂けて温かい気持ちです。 人それぞれに恐怖やら居心地悪さの対象はさまざまであり、それについて考えたり、対処法をひねり出したりと、一人一人が痛みや悲しみを抱えつつ健やかに過ごす事に近付ければなによりと考えます。 それは気が滅入るほどの話であり、とうめいな努力、他を 積み重ねていく事かもしれませんので、心ともに挫折しそうになるような話かもしれません。 要するには、こういうことには 色んな方々の視点が欲しいところですから気になる連を上げて頂いて助かります。 Merci.
1こんばんは、 とても情報盛りだくさんのコメントを頂き なんといいますか、 ボリューミーな映画のパンフレットを読んだ気分です。 ショック療法、実は僕は荒療治したくなる性質なので あんがい近いところに居るのかもしれません。 安静にしなさいと言われても落ち着かず、早くなにかしなければ、一つでも前に進まなければ、と焦るタイプです。 ご紹介頂いた作品はまたゆっくりと聴いていこうと思います。 「Get．it．On」は聴いてみましたが、好きなジャンルかもしれません。 >>過去は取り戻せない。 >>変わろうと思えば思うほど >>過去もまた変わろうと邪魔をする。 そうかもしれません。イメージは掴めます。 パンツロックは素直にちょっと笑いました。 荒療治、ショック療法は確かに一時的には良いですが、うまく波に乗り切らないと反動が物凄いので 実行の際はお気をつけ下さい。 Merci.
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