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ちゃんと授業を聞いてなかった
うちのクラスの担当の 国語 特に文学を教える先生が どんな話の流れだったか 「期限付きの高校生活」 そんな言葉を使った 夏の匂いを纏い始めた 柔く重たい空気を揺らす ささやかな風が 大きな四角のそっけない窓から吹き込む 眠たい 午前 半分寝ているようなクラスメイトが その言葉をするりと聞き流す中で 私だけがその言い回しの持つ特別感の正体を 探ることに頭を働かせていた 基本的に3年間しかない高校生活 人生で 特に限られた時間 だから「期限付きの高校生活」は 重複表現のようである けれど 間の抜けた感じはせず 真理を突いているように鋭く どこか エモーショナルに聞こえる これは高校生活という言葉に 青春という淡い時間の代名詞としての印象が 強く結びついているからなのだろう そんな考えに ひとり ぼんやりとたどり着いた 時間自体は無限だけれど 私たちの言う時間はいつも有限で 繰り返しているようで流れ続けていて 守られるものでありながら何より大きな存在でもある いつか人間が滅んだら 人間に勝手に 時間 なんて呼ばれていた 時間 は 大きな大きな かたまり に戻り 世界は永遠になるんだろう そんな途方もないことを 考えていて 板書しそびれた
ちゃんと授業を聞いてなかった ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 780.1
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-06-04
コメント日時 2025-06-08
| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


そうですね。 「期限付きの高校生活」。 「青春」でもなく「アオハル」でもない、 何だか大人びている感じがします。 ことばがお好きなのですね。 ふとした一言が残る。 私が覚えているのは、「○肉○食」に漢字を当てはめて4文字熟語を作りなさい、という設問に、「焼肉定食」と書いて、正解したという話です。 SF小説になりそうな思考展開ですね。 授業中でも、いろいろと想像する方が大事なこともあるので、 少しくらい授業を聞きそびれても大丈夫です。 とても楽しく拝読させていただきました。 ありがとうございます。
1この作品の面白さは、先生の言った言葉が“私”によって様々に解釈されていくことで一行の中に存在する“先生”を次第に浮き彫りにしていくかのような錯覚を覚えるところにあると思います。青春の切り取り方がとても鮮やかでした。
1こんにちは。 世界中どこ探しても時計が一個も無かったら、時間という存在も知らなかったら、どう生きるんだろうか自分は、と考えさせられました。
1一定の水準には達している作品で、 つい鶴見俊輔の「この時」と比べてみたくなりました。 本作は、「この時」と比べると、しっかりオチがあって、 かなりポップですが、 詩自体の魅力がマイナスになっている嫌いもある。 詩にそぐわない「甘い」表現もいくつかあり、 文体が平べったいなという感じも受けます。 この空行の使い方も、あまり効果的とはいえないです。 だがしかし、人気の出る書き手さんになる素質は十分にあると思いました。
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