電車は桜の花びらと共に走る
赤い車体に薄桃色の桜の色が
風に吹かれて切なく舞う
線路際に寄り添うように
桜の木は植(うわ)っている
あなたを想うことは
散る桜に似て
時に寂しく
そしてうつくしい
風に口づけ
花の香りが
私を過保護にする
甘やかして
巧みな言葉と
その少し冷たく感じる声で
いつまでも
仲良しでいてほしい
満開の桜は散る時も背を向けず
側にいてくれる
曖昧さを残しながら
桜の木の下には屍体が埋まっている
そんな話があるから
しにたいといきたいは重なり合って溶ける
試すように
私をはぐらかす
そのやりとりが
心をくすぐる
満開の桜は散る時も背を向けず
私を包み込んでくれる
暗闇の中でも見つけて
花びらを集めて桃色の絨毯にして寝転ぶ
柔らかな弾力が身体に伝わってきて
私は咽(むせ)び泣く
春風と共に思い出す
あなたは私にとって大人であり子供だったことを
たとえ一瞬でも見逃さないでいてくれる
だから私もあなたを見つめる
眩しさを抑えきれずに
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 846.3
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-05-05
コメント日時 2025-05-28
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:846.3
2025/12/05 21時15分50秒現在
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桜の散る様と電車が過ぎ去る様子から時間は止まってくれないという悲しさ、切なさが伝わります。
0男の僕には描けない境地だよなぁ~と思いましたよー
0「桜の森の満開の下」を書いたのは安吾ですが、 昔、戸川純も「赤い花の満開の下」という歌を歌っていました。
0そうですね。 美しく、30代前半女性のような色気があります。 20代ほど若くなく、40代ほどたわわな感じではない色気です。 >花の香りが >私を過保護にする >しにたいといきたいは重なり合って溶ける このフレーズがとても佳いです。 ひらがなの柔らかさと漢字のバランスも、良いです。 惜しいのはラストですかね。 哀愁がある感じで、 てっきり、「あなた」とは別れたのかと思ってたら、 あれ?ハッピーエンド? と、ややバランスの悪さを感じました。 全体的にさくら色に染まっているような良い作品です。 この詩が現実を映したものであるなら、 詩中のお二人の幸せをお祈りいたします。 ありがとうございます。
0やっぱりきょこちさんの作品は優しさがあっていい……。 >あなたを想うことは >散る桜に似て >時に寂しく >そしてうつくしい この部分がとくに良かった。 でも、少し気になったのが「ルビをどうして振ってないんだ?」というところというか……()の中に読みを書いているけれど、どうしてそうしたのかが少し気になる。何かの技法なのかもしれないけれど。
0コメントありがとうございます。 桜の散る儚さと電車の通り過ぎる一瞬が、確かに「時は止まらない」という現実を感じさせますよね。そうした切なさや悲しさを受け取っていただけて、とても嬉しいです。時間の流れに逆らえないもどかしさを、これからも丁寧に表現していけたらと思っています。
1感想ありがとうございます! 性別や立場の違いで見える景色があるのかもしれませんね。でも、そうやって共感してもらえることが何より嬉しいです。
0興味深い情報をありがとうございます! 安吾の「桜の森の満開の下」と、戸川純さんの「赤い花の満開の下」――どちらも“満開の花の下”に秘められた美しさと狂気のような世界観があって、つながるものを感じますね。こうして別々の表現が呼応しているのを知ると、とても刺激を受けます。教えていただき、嬉しいです!
0丁寧な感想をありがとうございます。 「30代前半女性のような色気」という表現、とても印象的で、自分の作品にそんな風に感じていただけたことが嬉しいです。年齢にたとえて質感を伝えてくださるのが、とても詩的で素敵ですね。 また、フレーズについても触れていただきありがとうございます。ひらがなの柔らかさと漢字の重みのバランスは意識していたところなので、そこを汲み取ってもらえたのは本当に励みになります。 ラストについてのご指摘もありがたく受け止めました。曖昧さの中に余韻を残したい気持ちがありつつ、やや迷いが出てしまったのかもしれません。「哀愁があると思ったらハッピーエンド?」という揺れを感じていただけたことが、ある意味でこの詩の境界を言い当ててくださっているように感じました。 そして最後のお言葉、とても温かく胸に沁みました。現実でも詩の中でも、そんな優しい祈りをいただけることが、何より幸せです。ありがとうございました。
1以下のような返信はいかがでしょうか。丁寧に感謝を伝えつつ、ルビの件にも誠実に答える内容にしています。 ⸻ 感想ありがとうございます……! 「優しさがあっていい」と言ってもらえて、本当にうれしいです。 そして、あの部分を特に気に入ってくださったこと、すごく励みになります。 ルビについてもご指摘ありがとうございます。 ( )で読みを書いたのは、ルビを振ってみたらそこだけ行間が空きすぎてしまった気がしてそうしました……ですが、わかりづらさにつながっていたなら反省です。 今後の作品づくりの参考にさせていただきますね! 本当に丁寧に読んでくださって、ありがとうございました。
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