三月 はじめて身にまとうコーデュロイのジャケットの袖口に 栗色のボタンがついていた ことを私はふいに思いだす この冬を 遠くから見つめるリスの尾は 中空でひろがる綿ぼうし 長く息を止め つんと澄んだ冬の匂い あるいは きみが おろしたてのパンツをはき その白さに驚くまでの時間を 賭けるのはどうだろう
遠くのラグーン を見にいこうか 地図の上には細かくくだいたナッツの 破片 紙のふちどりが消える頃 注解するのをまるで 花占いのようだ ときみはいう 偽装される口唇のゆるみに まっすぐ伸ばした指を 私はあてる もつれ つれこまれる読点の雨だれに はじめて名前をあたえた日
ゆうなぎ 天気予測員の隊列はさもしい 冬のひと りぼっちでうつくしく泣いた 橙色のニット帽をかぶると 目元までおおい きみは 私に目を見られたくない という だった 御茶ノ水の 橋の下をくぐり 幾本かの電車が音もなく走るのを ただ 見ているばかりで それでもつんざくような 春の嵐に また 目をつむった
虫の標本と 光箱の響き iPhoneのうえの小さな月の 飛行員たちの「オー」という声にあわせ 手を重ねたひとと 追うことでみつけるひどくつたない 採光と 散文のように溢れる みずのあわいに ねむる
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 782.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-29
コメント日時 2025-02-06
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2025/07/15現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:782.3
2025/07/15 09時25分22秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
ラグーンはサンゴ礁の事だったのか、忘れましたが、きみは「私に目を見られたくない」。みずのあわいに ねむるの意味。第1連のファッションの意義を考えてこの詩を考察しました。
1お読みくださり、ありがとうございます☺︎
0面白い言葉がたくさん散らばっていると思いました。話は変わりますが、面白いマンガって、絵が勝手に動いて見えるんですよね。この作品も動き出しそうな気配はあるけれど、そこまではいっていないように感じました。そうであれば、なおいいかなと思います。 もうひとつ投稿されていた作品も面白いなと思いました。出口が見つけられず、途中でいくども迷子になりましたが、詩作の可能性を感じました。 あと、ハンドルネーム(はしご)を微妙に変えられていて、そういう洒落の効いた作品も、機会があれば読んでみたいなと思いました。
1ほとんど、と言っていいほど飛躍して置かれたタイトルですが、それを書き込まれた言葉たちで想像へと呼び起こすのが上手い作り手ですね。この詩では上記でもコメントされているように間と区切りのあるリズム感。動きのある文体がいいですね。その妙味感を気分で味わえる。
1↑ たたかい。書き忘れましたが、日常の忙しなさとのたたかいなのでしょう。よく出ていますね。
1言葉だけで、マンガ、あるいは写真や映像のような視覚表現にどれだけ迫ることができるか、だと思っています お読みいただき、ありがとうございます( ⸝⸝ ᴖ.ᴖ ⸝⸝ )
1お読みくださり、ありがとうございます☺︎ うれしいです
0タイトルのたたかいは何と戦っているのだろうと思うくらい、洗練された言葉の詩ですね。 「ひと りぼっち」孤独とのたたかいもやはりどこか美しく楽しんでいるように感じます。 「りぼっち」って何かかわいいですね。
0